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2015 年度 実績報告書

リーシュマニア寄生虫のヌクレオソーム構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 15F15729
研究機関早稲田大学

研究代表者

胡桃坂 仁志  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80300870)

研究分担者 DACHER MARIKO  早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2015-04-24 – 2017-03-31
キーワードリーシュマニア / クロマチン / ヌクレオソーム
研究実績の概要

初年度は、リーシュマニアのヒストンH2A、H2B、H3およびH4をリコンビナントタンパク質として発現・精製する系の確立を行った。これらの遺伝子を大腸菌内で発現させるために、コドンを最適化した遺伝子を化学合成により得た。得られた遺伝子を大腸菌発現用のプラスミドであるpET15b に挿入して、N末端にヘキサヒスチジンタグを融合したタンパク質として、リーシュマニアの4種類のヒストンの大腸菌内での発現を試みた。その結果、H2AおよびH3は大腸菌内で発現させることに成功し、それぞれNi-NTA アフィニティークロマトグラフィーによって精製を行った。次に、ThrombinプロテアーゼによりヘキサヒスチジンタグをH2AおよびH3から切除した後に、イオンクロマトグラフィーにより精製を行った。その結果、高純度にリーシュマニアのヒストンH2AおよびH3をリコンビナントタンパク質として精製することに成功した。また、マクロファージに感染したリーシュマニアは、自身のH3をマクロファージ内に放出していることが報告されているため、ヒト培養細胞にリーシュマニアのH3を一過的に発現させ、その局在を解析した。その結果、リーシュマニアのH3はヒト培養細胞の核内に局在することが分かった。これらのことから、リーシュマニアのH3は、ヒト細胞のクロマチン中に取込まれている可能性が考えられた。さらに、リーシュマニアのH3は、ヒトのH4とH3-H4複合体を形成できることが、試験管内での再構成実験によって明らかとなった。現在、リーシュマニアH3とヒトH2A、H2BおよびH4からなるハイブリッド・ヌクレオソームの構造解析を始めたところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

リーシュマニアの4種類のヒストンの内、H2AおよびH3はリコンビナントタンパク質として発現・精製する系の確立に成功した。また、リーシュマニアのヒストンH3がヒト培養細胞のクロマチン中に取込まれている可能性を見出し、リーシュマニアのH3とヒトのH4を用いてH3-H4複合体を試験管内で再構成することができることを明らかにした。このことは、リーシュマニア由来のヒストンが、ヒトのヒストンをハイジャックして感染細胞へと影響を及ぼす可能性を示している。従って、これまでに考えられていたリーシュマニアヒストンの感染細胞での振る舞いと、全く別の新たな機能メカニズムを提案することができた。このことから、リーシュマニアのH3とヒトのH2A、H2BおよぶH4からなるハイブリッド・ヌクレオソームを解析の重要性を指摘することができ、当初の予定を上回る進展を得ることができた。

今後の研究の推進方策

リーシュマニアのH3がヒト細胞のクロマチン中に取込まれる可能性を見出している。そこで、リーシュマニアのH3を一過的に発現させたヒト培養細胞を用いて、クロマチン免疫沈降法によりリーシュマニアのヒストンH3が実際にヒト細胞のクロマチン中に取込まれているのかを解析する。また、試験管内においてはリーシュマニアのH3とヒトのH2A、H2BおよぶH4からなるハイブリッド・ヌクレオソームを再構成できることが明らかとなっているため、このハイブリッド・ヌクレオソームの構造および物理化学的な性質の解析を行う。また、リーシュマニアのH2BおよびH4を発現精製する系の確立を様々な条件を検討することにより行う。リーシュマニアのH2BおよびH4をリコンビナントタンパク質として精製した後に、既に精製系を確立しているリーシュマニアのH2AおよびH3と共にリーシュマニアのヌクレオソームを試験管内において再構成する。次に、再構成したヌクレオソームの結晶化を行い、X線結晶構造解析により構造を決定する。

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公開日: 2016-12-27  

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