研究課題
イエズス会は、布教に伴って大量の文書を16~17世紀の日本で作成し、ローマのイエズス会本部へ送付した。この記録類は、当時の欧州でも関心を集め、欧州で編纂・出版された「書簡集」も多いが、原文書の原言語(ポルトガル語、スペイン語)をラテン語・イタリア語などの一言語に統一的に翻訳し、更に適宜編集を加えてあり、既に一次史料ではない。イエズス会記録類は、織豊期から江戸初期に掛けての日本の中世芸能(能楽、幸若舞曲等)の第三者記述として重要であるが、原文書に拠る研究は少ない。本研究は、研究代表者(豊島)の勤務先(上智大学)に設置されたイエズス会ローマ文書館の日本関係文書の複製を利用すると共に、原文書を所蔵する文書館を直接訪問して調査を進めたが、その過程で、所蔵館側から、当該館の日本関係文書全てのデジタル複製の作成を提案され、マドリード王立歴史アカデミー・国立文書館、大英図書館写本部のイエズス会日本関係文書全点の撮影に成功し、画像約2万コマを入手する事を得た。これは、本研究以前には(当該所蔵館でも)行なわれなかった事業である。ここから、日本演劇史に関連する記事151点を抜き出して翻刻し、特に解釈に問題を生ずる点には(解釈明示のために)日本語・英語への翻訳を加え、それを取得済画像と対照可能な形で内部用データベースとしての資料集の構築を行なった。このデータベース・資料集に基づいて査読論文を発表し(一部は印刷中)、国際会議発表を行なった他、2017年3月9日に、国際シンポジウム「キリシタン時代の宣教に伴う演劇の言語 International Symposium on Languages of Theatre in the Christian Mission in Japan」(上智大学)を開催して、ポルトガルから招いた中世演劇史の専門家等と活発な討論を行なった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Il grande viaggio. La missione giapponese del 1615 al papa", ed. Teresa Ciapparoni La Rocca et al. (Brill)
巻: 単行 ページ: 印刷中
軍記と語り物
巻: 47 ページ: 印刷中