研究課題/領域番号 |
15F15755
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
鎌土 重晴 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (30152846)
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研究分担者 |
YU ZIJIAN 長岡技術科学大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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キーワード | マグネシウム合金 / 時効析出 / 動的再結晶 / ヘテロ構造組織 / 集合組織 / 変形機構 / 引張特性 / 押出し加工 |
研究実績の概要 |
本年度は時効硬化型Mg-重希土類元素(HRE)-Y-Zn系合金へ押出し前の均質化処理後に焼鈍しを施し、押出し加工後に得られる準安定相、平衡相、集合組織等のナノ・ミクロ組織に及ぼす焼鈍し条件の影響を走査型電子顕微鏡、結晶方位解析装置、透過型電子顕微鏡を用いて詳細に調べるとともに、得られる特性との関係を明らかにすることを目指した。焼鈍しを施し、Mg5REの体積率を増加させることによりPSN効果が発現し、動的連続再結晶が促進され、微細でランダム配向した再結晶粒が増加する。その結果、押出したままでも耐力343MPa、引張強さ405MPa、伸び9.3%と強度-伸びのバランスに優れた特性が得られる。T5処理を施すことによりナノサイズのβ’相がc軸に平行に析出し、耐力および引張強さはそれぞれ466MPaおよび490MPaまで向上する。さらに、市販のマグネシウム合金において問題となる耐力の異方性(圧縮変形時に引張双晶が容易に生じるため、圧縮耐力が異常に小さくなり、低圧縮耐力/引張耐力を招く現象)も生じず、圧縮耐力も引張耐力以上にまで向上する。これらの高強度化および異方性の改善は動的再結晶率の増大、動的再結晶粒の微細化、ナノサイズのβ’相の析出、長周期積層構造相の形成および溶質元素が偏析した積層欠陥の導入によるものであることを明らかにした。 これらの成果は、現在「Microstructure evolution and mechanical properties of an ultra-high strength Mg-11.7Gd-4.9Y-0.3Zr alloy prepared by pre-deformation annealing, hot extrusion and ageing」の題目でまとめ、国際学術誌に投稿し、審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも述べたように、今年度予定していた時効硬化型Mg-重希土類元素(HRE)-Y-Zn系合金へ押出し前の均質化処理後に焼鈍しを施し、押出し加工後に得られる準安定相、平衡相、集合組織等のナノ・ミクロ組織に及ぼす焼鈍し条件の影響を走査型電子顕微鏡、結晶方位解析装置、透過型電子顕微鏡を用いて詳細に調べるとともに、得られる特性との関係を明らかにすることができたことから、当初の計画どおりに進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現状の研究組織にて当初の計画どおりに進展していることから、基本的には昨年度と同様に研究組織は現状のままで進める。ただし、今後予定している加工材のプロセス‐マルチスケール組織-特性の定量的解釈を精度良く具現化するため、昨年度と同様に研究代表者と研究分担者の連携強化を図る予定で、月2回程度の研究成果の報告と次に向けた方策を検討する。 さらに今後予定している集合組織形成メカニズム、変形機構や特性発現メカニズムの解明とその合金設計への展開には、今後も更なる精緻なナノ組織の定量的な評価・解析が必要となることから、研究分担者の元の所属機関である中国科学院長春応用化学研究所とも連携を図りながらマルチスケールでの組織・構造解析を推進する。
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