我々は、光トラッピング技術を駆使し粒子間相互作用を直接実験的に測定するとともに、我々の研究室で開発してきた流体粒子ダイナミクス法による数値シミュレーションを行い、両者を比較することで、アクティブマターの集団運動における粒子間相互作用に及ぼす流体力学的相互作用の影響、さらには他の自由度との結合の役割を解明することを目指して研究を行ってきた。この研究の過程で、レーザで捕捉された金属粒子の局所的な加熱により、コロイド粒子が熱勾配に駆動され凝集する現象を偶然発見した。凝集下で様々な自己組織化が起こり、光場誘起のコロイド結晶、アモルファス相、準結晶的構造の形成などの新奇な現象を見出した。これまで、レーザによる局所加熱でコロイドが凝集する現象自体は知られていたが、そこで様々な物質相を形成した例は皆無であった。これは、光によるコロイドの多様な自己組織化という点で、新奇性、発展性に富んだ独創的研究成果であると言える。この成果は、上記のような非平衡プロセスにより、通常の熱力学的過程で形成することが困難な様々な非平衡物質相の形成の可能性を秘めているといえる。
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