研究課題
衛星リモートセンシング技術を用いた熱赤外域(TIR)の地球からの放射の変動を観測する方法は最も有望な手法の1つである。TIRの観測では、大地震の数週間から数日前に8-14μmのスペクトルのTIRの放射強度に時空間的な異常が出現することが報告されている。本研究では、2005年6月から2015年12月までの静止気象衛星ひまわり5-6号の日本地域のデータに適用し、地震とTIR変動の関係について事例および統計解析を行い、その相関を調査した。対象とする地震はM≧5かつ震央距離DがRD≧D≧150km (RD=100.43のM乗)を満たす地震で、異常発生日から30日以内および15日以前に発生した地震とする。また適切に雲を除去した。2013年10月18-19日のRST解析結果を見ると、北海道沖にTIR異常が出現していることがわかった。この異常の7日後の10月26日に検知域内にてM7.1の地震が発生している。11年間の統計解析の結果では、TIR異常は2005年から2015年の11年の解析期間に29回出現した。これらのTIR異常と地震との相関を同様に調査したところ、約80%のTIR異常はM≧5の地震と時空間的な相関があることがわかった。残りの20%の異常は相関がなく、いわゆるfalse positiveであることがわかった。TIR異常と地震の相関の有効性について調査するためのMolchan Error Diagram解析を実施した。false positiveの割合は約20%、警告率は約10%となり、ランダム推定に対する確率利得は6.2となり、ランダム推定よりかなり良いことがわかった。以上の結果から、日本付近において静止気象衛星の熱赤外データのRST解析によるTIR異常と地震活動との間には相関があり、地震の短期予測手法として有望であることがわかった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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