研究課題/領域番号 |
15F15794
|
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
吉武 道子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主席研究員 (70343837)
|
研究分担者 |
CHUNDAK MYKHAILO 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2015-11-09 – 2018-03-31
|
キーワード | チタン励起XPS / イオン化断面積 |
研究実績の概要 |
測定用の真空容器上の問題点を解決し、適切な位置にチタンX線が照射され、チタンX線が照射されて試料から飛び出した電子が適切に電子エネルギー分析器に入射されるようになった。 約4.5keVという高いX線エネルギーにより十分な確率で電子が励起される材料としてインジウムを選び、そのチタンX線励起の光電子スペクトルを取得した。 次に、シリコンを材料として選び、表面をアルゴンイオンスパッタにより清浄化して、チタンX線励起の光電子スペクトルを取得した。通常のX線光電子スペクトルでは励起されないSi 1sピークの確認と、チタンβX線によるピークを確認した。また、層状構造を持つエネルギー素子へのこの測定法の適用に重要な、試料表面から深い部分の観測を可能にするSi 2s及びSi 2pピークについて、通常のMg励起X線光電子スペクトルで化学状態分析に利用するSi 2pがSi 2sピークに比べて著しく強度が低く、チタンX線励起光電子分光法においては、Si 2sピークを分析に使用すべきであることを明らかにした。 また、Si 2sの強度は、イオン化断面積の理論値からの予測とほぼ合致しており、計画している機械学習による解析に使用できる程度のスペクトルを取得するには、スペクトル1本の測定に約10時間を所要することが明らかになった。 光電子放出角度を5度おきに変化させてスペクトル取得を行い、ダブレットであるために解析が複雑になるチタンX線励起の光電子スペクトルの機械学習による解析へ向けて、データを蓄積中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エネルギー素子のスペクトル解析に向けて、解析に必要なデータを確実に蓄積している。
|
今後の研究の推進方策 |
数種類の、厚さの異なるSiO2膜がついたシリコン基板の、チタンX線励起光電子スペクトルを、光電子検出角を5度おきに変化させて取得する。また、同じ試料の通常の(Mg励起)X線光電子スペクトルも取得し、それらの100個以上のスペクトルを機械学習により、複雑な形状のチタンX線励起光電子スペクトルが、通常のX線光電子スペクトルのように解析できるようにする。MOS構造の上下に電圧を印加して、SiO2中のSi 2sと、SiO2と接しているチャンネル部分のSi基板のSi 2sの結合エネルギーシフトの電圧依存性を、上の解析方法を用いて解析する。
|