研究課題/領域番号 |
15F15903
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本間 格 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90181560)
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研究分担者 |
TRUONG QUANG DUC 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 超臨界流体 / ナノ結晶 / ナノシート / 電極触媒 / 水素還元電極 / マグネシウムイオン電池 / MoS2 / MgCo2O4 |
研究実績の概要 |
平成27年度は多元研本間研の画期的ナノ材料合成法である超臨界流体プロセスを用いて①硫化モリブデン(MoS2)・セレン化モリブデン(MoSe2)の2次元シート材料の直接剥離法による合成法開発とナノシート構造解析、さらに②硫化モリブデンクラスター(MoSx)の作成とSTEMによる1次元無機ポリマー構造解析と電極特性評価を行った。またJSTのALCAプロジェクトとも連携して③Mgイオン電池の正極ナノ材料としてのスピネル構造コバルト酸化物のナノ結晶合成も行った。 ①では硫化モリブデンおよびセレン化モリブデンの結晶サンプルを超臨界流体処理することにより直接剥離が生じてMoS2およびMoSe2の単原子層レベルのナノシートの合成に成功した。これらのシートの表面原子結合状態のSTEMでの直接観察にも成功した。 ②ではフランスのグルノーブル大学とシンガポールの南洋工科大学との国際共同研究を行い、MoSxの1次元無機ポリマー物質を合成し、そのナノ構造と水素還元反応活性の詳細評価を行った。この新規ナノ物質は白金に迫る高い水素電極触媒活性を示す革新的な触媒材料であることが判明し、その学術的成果は材料分野の世界トップ誌であるNature Materialsに掲載された。今後、世界中の科学者から多大な関心と注目が集まることが期待できる。 ③Mgイオン電池正極材料は未開拓の電池材料であるが計算化学的にスピネル酸化物で高い容量と出力特性が予想されている。平成27年度は理論予想を検証すべく超臨界流体プロセスを用いてコバルト酸化物のスピネルナノ結晶の作製を行い、MgCo2O4などの有力な正極材料の合成に成功した。さらにポリアニオン系正極として注目されるMgMnSiO4ナノ結晶の合成も行った。TEM観察よりこれらのMg正極活物質の良質ナノ結晶の合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
多国間の国際共同研究を展開し、革新的水素電極を研究目標として本年度に検討したMoSxの1次元無機ポリマー電極材料は過去に国内外で研究例の無い新規ナノ材料でありながら白金に匹敵する高い水素還元電極活性を有することを世界で初めて見出し、その学術的成果は材料分野の世界トップ誌である Nature Materialsに掲載された。今後、本成果が革新的触媒電極として各国のエネルギー材料研究者の注目を集めることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
Nature Materialsに掲載されたMoSx1次元無機ポリマー材料を中心にレアメタルフリーで白金に匹敵する電極材料の探索を進める。燃料電池、水素製造などゼロエミッション技術に貢献する革新的材料の開拓を進める。
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