研究課題
主調査海域における海洋学的および生態学的な調査を実施するとともに、データの解析を進め、内部波がサンゴ礁生態系に及ぼす影響についての理解を深化させた。また大型魚類の餌資源利用についての同位体解析を進めた。具体的には以下の調査・分析を実施した。[フィールド調査]主調査海域である沖縄県八重山諸島において3回のフィールド調査を実施した(2016年8月、11月および2017年3月)。それらの調査を通じて、西表島船浮湾と石垣島長浦湾に長期観測型自動記録装置付水温計を設置・回収し、同海域における内部波の発生状況とその規模を解析した。また西表島船浮湾において、新たに考案した現場投入型カメラを用い、サンゴ礁生物の分布状況の調査を行った(ハビタットマッピング)。その結果、水深40m付近にセンベイサンゴの群落が発達していることを明らかにした。また同海域で採取されたサンゴ生物の各種同位体組成の測定を行った結果、サンゴ組織の炭素14同位体比が顕著に低い値を示すという新たな知見を得た。この新知見は、サンゴ礁の生育を支える炭素が、サンゴ礁内部のみだけでなく、外部(深層ないしは陸域)からも供給されていることを示唆しており、サンゴ礁生態系を支える炭素が系外からも流入しているという本研究の仮説を支持するものである。[サンゴ礁海域における上位捕食者の摂餌生態]サンゴ礁海域における上位捕食者であるサメの摂餌生態を探るために、水族館で飼育されているジンベイザメを用いて、サメの各種組織の同位体組成から、サメの栄養段階や生理状態を評価する新たな手法を検討した。また、その手法を天然のサメに適用した。その結果、天然のサメは、その多くが飢餓状態にあることが示唆された。以上の成果を、第13回国際サンゴ礁シンポジウム(於ハワイ)や第10回国際同位体生態学会議(ISOECOL2016、於東京)などで公表した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://bg.aori.u-tokyo.ac.jp/project/project04/