研究課題
【卵殻膜摂取による大腸炎モデルマウスにおける腸内細菌叢変化のメタゲノム解析】昨年までに卵殻膜粉末摂取がデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導大腸炎の抑制効果、またオミクスを多層的に組み合わせた解析を行い、その生理応答について分子レベルでの詳細な知見を報告した。本研究ではメタゲノム解析を用いて、炎症性腸疾患の病因である病原性免疫応答に寄与する腸内細菌叢変化を調べた。その結果、卵殻膜摂取により、EnterobacteriaceaeとE. coliなどの病原性腸内細菌の減少を特徴とする腸内細菌叢失調の抑制を明らかにした。また、腸内細菌叢構造の特徴について、αおよびβと呼ばれる細菌多様性を評価した結果、豊富菌か希少菌に関わらず、細菌群の構造が改善され、細菌の多様性の増加が卵殻膜粉末の抗炎症効果に関連する可能性があることを示唆した。このような調節は宿主に対して機能的効果を与えることで、腸管上皮細胞の修復、エネルギー需要の調節、最終的には腸管粘膜炎症の緩和に寄与すると考えられる。【新規栄養関連SNPの探索】これまでに栄養関連SNPとしてアルコール体質、血中微量栄養素、味感受性などが報告されている。本研究では、食品成分と遺伝的な個人差に関して新規栄養関連SNPの探索を行った。健常な日本人の大規模遺伝子データによるGWASを行った結果、2型糖尿病のリスクを低減するコーヒーについて、欧米人にも同定されたカフェイン代謝に関連するSNP以外に、脂質代謝に関連する遺伝子にマップされたものを新規でアジア人特有のSNPとして同定できた。現在、内臓脂肪の蓄積、糖代謝との関連性を合わせて投稿論文を作成している。本研究の結果は、摂取する食品に対する感受性や作用の違いを予測し、各個人に最適な食品の摂取方法や摂取量を検討する「テーラーメイド栄養」にも発展させられると期待できる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: 43993
10.1038/srep43993