研究課題
本研究の目的は、蓄積リングを用いて「位相空間回転法」と呼ばれるミューオン・ビームの高輝度化技術を実証することである。位相空間回転法とは、低速ミューオンをRF電場で加速し、高速ミューオンをRF電場で減速し、ミューオン・ビームの運動エネルギーを揃えるという画期的なビーム高輝度化の方法である。まだ、実験的実証はまだ行われていない。直線型の装置代わりに、電力的にも経済的な円型装置(蓄積リングという)を採用することにした。そして、その蓄積リングのタイプとして、大アクセプタンスを持つ固定磁場強集束シンクロトロン(FFAGリング)を研究している。本研究で建設したFFAGリングは、合計6台のFFAG電磁石から構成される。平成20年度には、大阪大学核物理研究センターのM実験室にこれら6台のFFAG磁石を設置し蓄積リングを完成させた。まず、α線を用いた単粒子トラッキング法により、FFAG蓄積リングの性能評価試験を行った。この場合は、蓄積リングの直線部分の(真空チェンバーの)1つにα線源を置き、そこからのα線をリング内に向けて照射する。このα線は周回した後、同じくリングの真空チェンバーの置かれたSi半導体検出器で、その位置とエネルギーを観測する。蓄積リングのビーム光学特性として、閉軌道条件やベータトロン振動条件を測定した。これらをシミュレーション計算と比較し、期待される性能がでていることを確認した。さらに、位相空間回転法の実証実験として、高勾配電場を出すRF装置を直線部分の1つに設置し、α線のエネルギーと時間の相関を測定した。RF電場の位相とα線のエネルギーとの間に、位相空間回転から期待される関係が確認された。これにより、世界で始めてFFAGリングを使った位相空間回転法が実証された。
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