研究分担者 |
三宅 和正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90109265)
大貫 惇睦 大阪大学, 理学研究科, 教授 (40118659)
菅 滋正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40107438)
野末 泰夫 大阪大学, 理学研究科, 教授 (60125630)
清水 克哉 大阪大学, 極限量子科学研究センター, 教授 (70283736)
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研究概要 |
「多元融合領域の予測を超えた未開の新物質相」の発見と現象の解明を行い,物質科学の新展開を先導することが本学術創成研究の目的である.5年間で以下のような数々の成果を挙げた. 1.高温超伝導体の反強磁性と超伝導の相図には,両者の融合相、および反強磁性量子臨界点が存在し,層間結合の大きさに依存していることを明らかにした(北岡).2.超ウラン化合物の研究の成果として,ネプツニウム化合物NpPd_5Al_2で世界初の超伝導を発見した(大貫).3.軟X線角度分解光電子分光によって,これまで超高純度試料で低温でしか評価できなかったバルクフェルミ面を温度にかかわらず可視化できるブレークスルーを実現した(菅).4.単体金属Caの超伝導転移温度が160GPaの超高圧力下で25Kまで上昇することを発見した(清水).5.重い電子系異方的超伝導体CeNi_2Ge_2,Ce(Ir,Rh)In_5,Ce_2RhIn_8系の磁気ゆらぎと超伝導発現の相互関係を明らかにし,CeRhln_5の圧力-温度相図で4重臨界点を発見した.UGe_2が強磁性磁気モーメントと平行な方向のみクーパー対が形成される非ユニタリー強磁性超伝導体であることを示した(北岡).6.Ce_2Ni_3Ge_5における年力誘起超伝導の発見,圧力誘起超伝導体CeRhln_5では2.4GPaを境にしてフェルミ面の形状変化から4f電子状態が局在から遍歴に変貌することを明らかにした(大貫).7.強磁性希土類化合物Ulr(小林、大貫)および反強磁性体CeNiGe_3(大貫)で圧力誘起超伝導を発見した.8.CeCu_2(Ge,Si)_2で観測される異常な超伝導相図に関連する現象を「価数転移量子臨界現象」として包括的に理解すること,反強磁性と共存する「ギャップレス超伝導状態」の記述に成功した(三宅).これら一連の研究の発展が強相関電子系における新物質相である重い電子系超伝導相や高温超伝導相の機構解明へ向けてのブレークスルーとなり、長年の物理学上の重要課題であった「強相関電子系超伝導現象の解明」に繋がることが期待できる。
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