研究課題
哺乳動物のABC蛋白質は未だに蛋白構造が不明であるだけでなく、その多くは未だに輸送する基質や機能、病態との関連が不明である。本研究では、特にABC蛋白質のレギュレーター機能(SUR)と脂質膜輸送機能(ABCAサブファミリー)に焦点を絞り、構造、機能、病態における意義を解析することにより、新たな膜輸送機構の分子基盤を明らかにすることを目的とする。平成19年度には、1) ABCA3 KOマウスの肺脂質のメタボローム解析により、パルミチン酸を有するホスファチジルコリンとホスファチジルグリセロールがABCA3の基質である可能性を明らかにした。2)サーファクタント欠損患者に認められるABCA3遺伝子変異により、細胞内のベジクルのコリンリン脂質が減少することをin vitroの系で明らかにした。3)フェノタイプがより軽度である間質性肺疾患患者に認められるABCA3遺伝子変異において、ABCA3機能異常のメカニズムを明らかにした。4)ABCA1によるHDL形成と、ABCG1によるHDL形成の相違を明らかにし、両者が異なった調節メカニズムにより協調的にHDLを形成することを明らかにした。5)ABCG5/ABCG8がヘテロ2量体を形成して細胞膜に発現し、胆汁酸存在下、ステロールを細胞外へ排出することを明らかにした。6)大腸菌およびサルモネラ菌由来のMDR1ホモログMsbAの結晶を精製し、最高5.0ÅまでのX線回折強度データの収集を行った。さらに、好熱性古細菌と真核単細胞生物からも結晶化に適したMDR1ホモログの結晶化を行い、8.0Å分解能のX線回折像を与える結晶を得た。7)FreeStyle293細胞発現系より得られたSUR1-Kir6.2複合体の精製標品を、極低温電子顕微鏡により電子線単粒子解析を行い、顕微鏡像平均化によるクラスアベレージ像を作成中である。
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