2003 年度実績報告書

フェロモン系を介する視床下部・辺縁系機能の制御

研究課題

研究課題/領域番号	15GS0306
研究機関	東京大学
研究代表者	森裕司東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40157871)
研究分担者	岡村裕昭独立行政法人農業生物資源研究所, 生体機能研究グループ, チーム長 (60213972) 市川眞澄東京都医学研究機構, 神経科学総合研究所, 主任研究員 (20124414) 北原武東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40087573) 菊水健史東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90302596) 武内ゆかり東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10240730)
キーワード	哺乳類 / プライマーフェロモン / 構造決定 / 化学合成 / 視床下部・辺縁系 / 神経行動学 / フェロモン受容体 / フェロモン産生機構
研究概要	フェロモンは同種個体間で交わされる嗅覚シグナルであり,多くの哺乳類において性行動,育子行動,縄張り行動,親和的行動など,種に特異的な生得的行動の発現に重要な役割を果たしていることが知られている。本研究の第一義的な目的は,哺乳類におけるフェロモン系を介する脳機能ことに視床下部・辺縁系機能の制御機構の全容を明らかにすることであり、そのための研究モデルとして反芻動物で知られているフェロモンによる強力な性腺刺激効果すなわち"雄効果"を取り上げた。この現象を引き起こすフェロモン分子を単離・精製・同定し,フェロモンの産生、受容、作用メカニズムを解明することが具体的な課題である。本年度はまず成熟雄ヤギの頭頚部被毛中の脂溶性成分を超臨界状態の二酸化炭素を溶媒に用いて抽出し、精製原材料となる大量の被毛抽出物を得た。その一部を分取ガスクロマトグラフィー(PFC)にかけ、回収された各分画についてフェロモン活性の有無を多ニューロン発射活動を指標とした神経生理学的手法により生物検定し、最終的にリテンションタイム1分にまで活性分画を絞り込むことができた。現在この分画に含まれるすべてのフェロモン候補分子について構造決定を進めており、同定できしだい合成に取りかかる予定である。一方、このフェロモンはアンドロジェン依存性に雄の頭頚部皮膚で産生分泌されることから,アンドロジェン処理によりこの部位で特異的に転写誘導されるmRNA群の同定を開始しており、この作業を通じてフェロモン合成に関わる酵素群の探索を進めている。またフェロモンの受容および中枢作用の機構に関しては、副嗅球への脳定位的トレーサー注入実験を中心にフェロモン作用の背景となる神経回路網の同定を行っている。さらに警報フェロモンや母性フェロモンなど他のカテゴリーに属するフェロモンについても、主に齧菌類を用いた神経行動学的研究を並行して進めているところである。

研究成果
(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] Iwata E., Kikusui T., Takeuchi Y., Mori Y.: "Substances derived from 4-ethyl octanoic acid account for primer pheromone activity for the "male effect" in goat."Journal of Veterinary Medical Science. 65. 1019-1021 (2003)
[文献書誌] Kiyokawa Y., Kikusui T., Takeuchi Y., Mori Y.: "Alarm pheromones with different functions are released from different regions of the body surface of male rats"Chemical Senses. 29. 35-40 (2004)
[文献書誌] Kiyokawa Y., Kikusui T., Takeuchi Y, Mori Y.: "Testosterone modification on alarm pheromone production and secretion"Hormones and Behavior. in press. (2004)
[文献書誌] Hagino-Yamagishi K, Moriya H, Kub Y, Wakabayashi N, Isobe S, Saito M, Ichikawa, Yazaki K: "Expression of putative pheromone receptor genes in Xenopus laevis."Journal of Comparative Neurology. in press. (2004)
[文献書誌] Takigami S, Wakabayashi Y, Ohsako S, Ohkura S, Okamura H, Ikai A, Ichikawa M, Osada T: "Fetal development of vomeronasal system in the goat."Developmental Brain Research. in press. (2004)
[文献書誌] Takigami S, Mori Y, Tanioka Y, Ichikawa M: "Morphological evidence for two type of mammalian vomeronasal system."Chemical Senses. in press. (2004)
[文献書誌] 岡村裕昭, 大蔵聡, 岩田恵理, 森裕司: "においと脳・行動(外地・渋谷編)"フレグランスジャーナル社. 336 (2003)

2003 年度 実績報告書

フェロモン系を介する視床下部・辺縁系機能の制御

研究代表者

森 裕司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40157871)

研究成果

[文献書誌] Iwata E., Kikusui T., Takeuchi Y., Mori Y.: "Substances derived from 4-ethyl octanoic acid account for primer pheromone activity for the "male effect" in goat."Journal of Veterinary Medical Science. 65. 1019-1021 (2003)

[文献書誌] Kiyokawa Y., Kikusui T., Takeuchi Y., Mori Y.: "Alarm pheromones with different functions are released from different regions of the body surface of male rats"Chemical Senses. 29. 35-40 (2004)

[文献書誌] Kiyokawa Y., Kikusui T., Takeuchi Y, Mori Y.: "Testosterone modification on alarm pheromone production and secretion"Hormones and Behavior. in press. (2004)

[文献書誌] Hagino-Yamagishi K, Moriya H, Kub Y, Wakabayashi N, Isobe S, Saito M, Ichikawa, Yazaki K: "Expression of putative pheromone receptor genes in Xenopus laevis."Journal of Comparative Neurology. in press. (2004)

[文献書誌] Takigami S, Wakabayashi Y, Ohsako S, Ohkura S, Okamura H, Ikai A, Ichikawa M, Osada T: "Fetal development of vomeronasal system in the goat."Developmental Brain Research. in press. (2004)

[文献書誌] Takigami S, Mori Y, Tanioka Y, Ichikawa M: "Morphological evidence for two type of mammalian vomeronasal system."Chemical Senses. in press. (2004)

[文献書誌] 岡村裕昭, 大蔵聡, 岩田恵理, 森裕司: "においと脳・行動(外地・渋谷編)"フレグランスジャーナル社. 336 (2003)

2003 年度実績報告書

森裕司東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40157871)