研究課題
本研究ではシアノバクテリア(Synechococcus elongatus PCC 7942)で概日時計を中心としたシステムを解明するため2つの解析手法の開発を行っている。まず、DNAについては昨年度杉田らのゲノム情報に設計したDNAチップが完成し、これを利用した解析が軌道に乗った。即ち、連続明条件下での基本的な遺伝子発現の解析を終了し、そのプロファイルについての解析を終了し、現在最初の論文を準備中である。さらに様々な局面での解析や、共同研究で、概日時計以外の分野の研究にも利用が広がっている。一方、包括的な遺伝子発現のリアルタイムモニターを実現するために、昨年度開発したゲートウエイシステムを採用したプロトコルに従って、発光レポーターコンストラクトの作成を進め、今年度末までに1500遺伝子の発光レポーターを作成した。また、288チャンネルの生物発光自動測定装置の整備も進み、シアノバクテリアへ発光レポーターコンストラクトへ導入し、発光パターンの解析を開始した。今後上記のDNAチップのデータとの比較、鉄道虫のルシフェラーゼを利用した2波長測光の利用を進め、シアノバクテリアの概日時計を核にした細胞システムの同定を進める。一方、今年度は概日時計の発振機構の解明について、大きな展開があった。すなわち転写や翻訳が停止中の暗期でも、KaiCのリン酸化サイクルが概日リズムを示し、この振動が温度補償されていることを発見し、KaiCのリン酸化サイクルが概日時計の真の発振機構であることを明らかにした。さらにこのKaiCのリン酸化サイクルがin vitroで3つのKai蛋白質とATPのみで持続できることを見いだし、KaiCのリン酸化サイクルがあたかも時計の振り子のように時を刻むプロセスであること示した。これらの進展は概日システムの解明に大きな意味をもつものであり、今後のシステムとしての概日時計の解明はKaiCのリン酸化サイクルを核にして進められる。
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