研究概要 |
本研究ではシアノバクテリア(Synechococcus elongatus PCC 7942)で概日時計を中心としたシステムを解明するため2つの解析手法の開発をほぼ完了し、それを利用し以下の成果を得た。 GeneChipを用いた概日リズム解析 様々な条件下でのゲノムワイドな発現を調査した。ほぼ25%にあたる700弱の遺伝子に有意な概日蓄積リズムが認められ,約7割が主観的夕暮れ時にピークをもち,2割ほどが主観的夜明けにピークを示した。さらに,高振幅遺伝子群のほとんどは主観的夕暮れ時にピークを持つこと,多くの夜明け発現遺伝子があること、3つのシグマ因子が高振幅リズム発現をすることなどが明らかになった。 生物発光包括的遺伝子発現リアルタイム解析 全ORFに対するセットをほぼ完成した。300余りの株を用い、1)発光する全ての発光レポーター株には概日リズム成分が観察された。2)野生型は明開始で一過的なピークをもち、暗開始まで発光量が上昇する。3)暗期後一過的な発光上昇を示し、いくつかは暗誘導のかかるものもあった。kai欠失株背景では、その多様性が失われkai遺伝子が明暗周期下でも広範囲な発現制御機構に関わっていることが示された。 KaiCによる遺伝子発現機構の解析 37個の二成分制御系遺伝子を調査し、rpaA破壊により全ての遺伝子発現リズムが消失することを見いだした。さらにKaiC, SasA, RpaAの3つの蛋白質をATPと共に混ぜ、KaiC蛋白質によってSasAからRpaAへのリン酸基の活性が上することがかった。 試験管内でのKaiCのリン酸化サイクル 今後のシステムとしての概日時計の解明は試験管内でのKaiCのリン酸化サイクルを核にして進める必要があるので、この振動がどのように細胞内で機能し、同調されているか解析した。
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