研究課題/領域番号 |
15GS0308
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 孝男 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10124223)
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研究分担者 |
岩崎 秀雄 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (00324393)
小山 時隆 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (30324396)
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キーワード | 概日時計 / シアノバクテリア / 時計タンパク質 / ATPace / KaiC |
研究概要 |
本研究ではシアノバクテリア(Syneachococcus elongatus PCC 7942)で概日時計を中心としたシステムを解明することを目指している。今年度は2005年発見した試験管内での概日時計再構成系を中心に解析を行い、以下の成果をえた。 KaiCリン酸化リズムの自己同調機構 KaiCリン酸化リズムは10日以上減衰せずに観察される。位相が4時間ずつ異なる再構成系を等量6つ混合してみた混合試料ではリズムは消失するという予想に反し、振動は特定の位相から混合前と全く変わらない明瞭なリズムを示した。これはKaiCリン酸化リズムのシステム内部に同期機構が存在し、位相の異なるKaiCを同位相にそろえる事が可能であることを示している。KaiCを混合し経過を観察した結果、脱リン酸化初期のKaiCは他の位相を自分の位相に引き込むことが明らかとなった。この同期現象により新規のKaiCの合成が予想される細胞内でKaiCリン酸化リズム安定して持続すると考えられる(Nature Struct Mol Biol 2008)。 リン酸化によらないKaiCによる転写制御サイクル KaiCのリン酸化状態を固定した細胞でも温度補償された自律振動が発生することを見出した。この転写制御サイクルの周期はKaiCにより支配されており、KaiCの未知の機能により、遺伝子発現が制御され、細胞内振動機構が駆動されていることが示された。(Gene & Dev 2008)。 温度サイクルによるKaiCリン酸化リズムの同調 KaiCリン酸化リズムを様々な温度サイクルに置くと位相が温度サイクルに同調することを見出した。同調のメカニズムの詳細な解析から、同調は温度シフトによる位相変位として予想されるもの一致することが明らかになった。すなわち、温度変化はKaiC分子に直接刺激を与えることで、その振動発生機構を調整し、同調を可能としていることが示された。(PNAS 2009)
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