研究課題
学術創成研究費
概日時計は時計遺伝子の発現のフィードバック制御によるとされており、概日振動の周期長や安定性を説明するためには細胞の遺伝子発現の包括的解析が必要で、それを基にシステム的解析が必要と考えられた。当初の計画ではDNAチップと生物発光レポーターで遺伝子発現の包括的解析を可能として、シアノバクテリア細胞の概日システムの分子機構の全体像を解明することを目的とした。シアノバクテリアの概日時計による遺伝子発現制御の包括的解析を2つの方法(SynechococcusのGeneChipの開発、生物発光による遺伝子発現解析)で可能とし、振動サイクルでの時間経過について解析を行なった。その結果、当初の期待と予測をほぼ裏付ける成果を得ることができた。この成果は、新たなタンパク質による時計モデルに基づいて、概日システムを解析する時には、その基礎となろう。一方、全く予想していなかった転写の停止した暗期中でのKaiCリン酸化サイクルを見出し、さらに3つのタンパク質とATPのみでこれを再構成した。これは極めてインパクトの大きな発見で、概日時計の基本モデルに大きな修正を迫るものである。そこで、期間の後半はin vitroの再構成系を利用したKaiCのリン酸化サイクルの生化学解析を中心として行い、1)KaiA,KaiBの相互作用2)KaiCのリン酸化プログラムの解明、3)周期を規定するKaiCのATPase活性の発見、4)KaiCリン酸化リズムの自己同調機構などの極めて新規な成果を得た。いずれもタンパク質自体が高度な機能をもつことを示したものであるが、特に概日時計の特徴である24時間の周期長とその安定性がKaiCのATPase反応に基づくことやKaiC6量体間でその時間情報が交換されることなど、大きなインパクトをもつ結果が得られ、概日時計のデザイン原理を理解する可能性をもつものである。
すべて 2008 2007 2006 2005 2004 2003 その他
すべて 雑誌論文 (33件) (うち査読あり 23件) 学会発表 (71件) 図書 (3件) 備考 (2件)
Genes & Development 22
ページ: 1513-1521
Plant Physiology 146
ページ: 1952-1963
J.Bacteriol 190
ページ: 1691-1698
Nature Struct Mol Biol 14
ページ: 1084-1088
Proc.Natl Acad.Sci.USA 104
ページ: 16377-16381
EMBO J 26
ページ: 4029-4037
Genes & Dev 21
ページ: 60-70
Proc.Natl.Acad.Sci. 103
ページ: 12109-12114
Mol.Cell 23
ページ: 161-171
Plant Cell Physiol 47
ページ: 601-607
Mol.Microbiol. 57
ページ: 1474-1484
Science 308
ページ: 414-415
Science 307
ページ: 251-254
J.Bacteriol. 187
ページ: 2559-2564
Mol.Microbiol 57
Proc.Natl.Acad.Sci. 101
ページ: 881-885
Plant and Cell Physiol.45:109-113. (2004) 45
ページ: 109-113
J.Biol.Chem. 279
ページ: 36534-36539
ページ: 13927-13932
J.Biol.Rhythms 19
ページ: 436-444
Plant Cell Physiol. 45
ページ: 57-67
『時計遺伝子の分子生物学』(岡村均・深田吉孝編)(シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社)
ページ: 1-14
Plant and Cell Physiol 45
Plant Cell Physiol 45
J.Biol.Chem. 278
ページ: 2388-2395
EMBO J 22
ページ: 2127-2134
J Bacteriol 185
ページ: 1415-1422
http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/scientistweb/no55/
http://clock.bio.nagoya-u.ac.jp/web/