研究課題/領域番号 |
15GS0319
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
貝淵 弘三 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00169377)
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研究分担者 |
臼倉 治郎 名古屋大学, 先端技術共同センター, 教授 (30143415)
黒田 真也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50273850)
天野 睦紀 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90304170)
田谷 真一郎 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60362232)
有村 奈利子 玉川大学, 脳科学研究所, COE准教授 (20420375)
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キーワード | 細胞極性 / 遊走 / Rho / Rac / Par-3 / CRMP-2 / シグナル伝達 / シミュレーション |
研究概要 |
細胞の極性形成を制御するシグナル伝達の解析 細胞の遊走には低分子量GTPaseであるRhoとRacのシグナル経路が互いに拮抗することが重要であると考えられているが、その分子基盤については不明の点も多い。本研究では、細胞遊走の際の前後軸の形成において、Rhoのエフェクター分子であるRho-キナーゼがPar複合体のPar-3をリン酸化してRacの機能を抑制することを見出した。Par複合体はインテグリンやCdc42の下流でRacにシグナルを伝えるが、Rho-キナーゼによりリン酸化を受けるとPar-3はRacの活性化因子であるTiam1/Tiam2と共にPar複合体から解離し、Racの活性化が阻害されることを明らかにした。また、Rho-キナーゼはRhoの不活性化因子の一つであるp190RhoGAPをリン酸化することでその活性を抑制することを示唆するデータを得た。 細胞内輸送と極性形成の関係 本研究では、CRMP-2が小胞輸送制御に関わるSlp1/Rab27と複合体を形成することを明らかにした。Slp1が神経成長因子の受容体であるTrkBと共局在しSlp1/Rab27と複合体を形成すること、またSlp1はCRMP-2を介して、KIF5とKLCと結合していることが示唆された。このことより、CRMP-2は様々な分子と相互作用し、積み荷受容体として細胞内輸送を制御すると考えられる。 コンピューターシミレーションを用いたシグナル伝達ネットワークの解析 遊走する細胞の前後軸の確立メカニズムについて質量保存的反応-拡散システムを基にした分子モデルを作製した。このモデルを用いて解析を行ったところ、複数の活性化ピークは不安定で、結果として一つの安定なピークが生じること、また誘引物質の濃度勾配に対して限定された部位(遊走先端)で高い感受性を持つことが示された。
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