研究実績の概要 |
国語科の書くことが困難な生徒に, シンキング・ツールを用いた支援を行い, その効果を検証した。 生徒の「書けない」という症状の内, 「書く課題に対する既有知識が欠如している」「書く課題と既有知識がつながらない」「書く課題と既有知識とはっながってはいるが, それを表現できない」三つの原因について, 書く過程の中で, シンキング・ツールがコミュニケーションを活性化させたり, 方略としての型になったりすると考え, その支援としての有効性と課題について考察した 国語科スクーリングテストの結果を基に, 生徒2名を対象に臨床研究を行った。三つの授業実践の結果から, 書くことの困難な生徒に対して, シンキング・ツールによる支援が「焦点化」「視覚化」の役割を果たし, 一定の有効性をもつことが明らかになった。また, 「書く課題と既有知識がつながらない」「書く課題と既有知識とはっながっているが, それを表現できない」生徒には, シンキング・ツールを提示するだけでも効果的であるが, 「書く課題に対する既有知識が欠如している」生徒には, シンキング・ツールを提示するだけでは効果的が薄く, 対話などの活動と組み合わせることで効果が出ることが明らかになった。また, その効果はいつも一様というわけではなく, 課題によって, また授業の状況によって異なることも明らかになった。 この研究成果から, 「大まかに書けない子どもA, Bの2パターンを想定したり, どの部分でつまずいているのかを大まかに2パターンで把握したりしておくことで, 書くことが困難な子どもに対応した授業が展開でき, また思考過程を型として共有することで書くための方略となる」ユニバーサルデザイン授業の方向性を示すことができた。 詳細については, 『香川大学教育実践総合研究第32号』に掲載した。
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