1. 目的に関連する理科の『3D可視化・可触化』教具の開発や3Dプリンティング教材の開発に関する情報はインターネット検索や学術雑誌等の文献調査を行って収集した。また、人体の臓器や骨格の3Dプリンティング教材の開発にOsiriX (オザイリクス ; Mac OS X用ソフトウェア)の理科教材開発ツールとしての可能性を検討した。 2. 簡易比色計の躯体となるオリジナル3Dデータを作成し、3Dプリンティング技術を活用して教育現場で容易に量産化が可能な簡易比色計を開発した。これを用いて溶液濃度測定の授業実践を繰り返し、簡易比色計の測定精度が高いことや比色計の測定原理の理解が『躯体構造の可視化・可触化』により深まることを明らかにした。 3. 発達障害者の理科教育を可視化・可触化で支援する方法として、地学分野ではダジック・アース(デジタル地球儀)を用いた授業の中で地表面の高低差を表現した天体(地球・月等)の3Dモデル教具を作製し、化学分野では化学結合の授業の中でキラルな有機化合物(乳酸や樟脳など)の3D分子モデル教具を作製し、生物分野では動物の3D骨格モデル教具やチリメンモンスター(各種稚魚や節足動物の幼生)を取り扱う授業の中で微小海中生物の3D拡大モデル教具を作製して用いた3Dプリンティング教材を開発した。発達障害がある生徒を含むクラスの高校理科の授業で開発した教材を実践使用してアンケート調査を行い、その調査結果を基に3Dプリンティング教材の使用の有無による学習効果を比較検討し、「可視化・可触化」による支援方法の有効性を明らかにした。 4. 研究成果をまとめた小冊子を作成して研究会等で配布し、3Dプリンティング技術を活用した理科の『3D可視化・可触化』教育教材の普及活動に努めた。 5. 平成27年度は3Dプリンターの購入費の補助対象が中等教育現場へ広がるため、本研究は教育現場における『3D可視化・可触化』教育教材の実践的な導入の普及・促進への貢献が期待できる。
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