本研究では、次のことを目指し、以下のような結果を得た。 ①視覚に障害のある児童・生徒に対する、グラフ指導の留意点の整理 ②視覚に障害のある児童・生徒が、グラフの仕組みや読み書きを学習できるようなコンテンツの作成 ③作成したコンテンツの授業での利用とその有効性の検討 研究結果 ①視覚に障害のある児童・生徒に対する、グラフ指導の留意点と指導法を整理するために、本校を退職された数学科の教師に聞き取りを実施した。また、これまでの自身の実践も考慮し、指導の留意点をまとめた。グラフは、数量の関係を視覚的に分かるように作られたものであるため、視覚に障害のある児童・生徒がグラフを理解できるようになるためには、表の中で数量の関係を理解できること、図形としての直線や円、平行・垂直、斜めなど、形の認識ができることが必須であり、その上で、グラフ表現の仕組みを理解し、それを読み取る触察力が付いて、はじめて活用につながることが確認された。 ②学習コンテンツの作成については、基本的な触察の力がある児童・生徒が分かりやすい方眼を作成した。これは、両面に点を出力できる点字プリンタを利用して、軸を表点、他の方眼部分を裏点で出力し、幅を工夫した。 ③②を授業で評価した結果、方眼の幅が1.5~2cm程度が読み取りやすいことが分かった。方眼の幅が1cmでは、読み飛ばしてしまう複数のケースがあったが、練習の回を重ねることで、読み飛ばしは減少した。指の左右の複数回の動きにより線を認識しているので、段階を追った練習が有効であることが分かった。また、間隔が広すぎると、触察として読み取りがしづらいようであった。 ④②において、点図での学習をタブレットで支援する先行研究があり、その技術の利用の検討を行い、既存の表計算ソフトの可能性も探った。これらの技術の利用は有効であると思われる。
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