[研究目的] マシニングセンタに据え付けた被加工物及び治具を、「非接触式プローブを取り付けたアーム型三次元測定器(以下非接触式三次元測定器)」を活用しデータとして直接シミュレータに取り込み、被加工物と治具の干渉有無のシミュレーションを行う全く新しい手法の開発を行う。被加工物と治具の衝突事故を防止する一つの有効な方法として、企業だけでなく学校教育の場でも活用してもらうことを目指す。 [研究方法] (1)加工テーブルスキャンからシミュレーションまでの一連の作業フローの検証と手法確立。 (2)効率よく加工物と治具データを取り込める条件をさらに探索。 (3)様々な形状の治具、ワークを想定し正しくデータをシミュレータに取り込むことができるか検証。 [研究成果] 非接触式三次元測定器で取得した被加工物・治具データを形状データ編集ソフトにてボリゴンデータに変換した。試行的にシミュレータソフトにこのデータをインポートしたが、2つの原因により正しい解析を行うことは出来なかった。1つ目の原因はインポートしたデータが実際の物体のように閉じた形状ではなく、一部の面データが欠損していたこと、2つ目の原因はそのままのデータでは容量が非常に膨大であったためだった。これらの原因について、それぞれ形状データ編集ソフトを用い、欠損データの修復やボリゴンデータの三角数を減らす間引き作業を行うことで、問題を解決した。 さらに、治具データを含んだすべてのデータを被加工物データとして取り込んでも解析自体は可能ではあったが、被加工物と治具の干渉検知が正しく出来ないことも分かった。そこでスキャンを行う段階で、治具のみのデータと被加工物のみのデータをそれぞれ分けて取得し、シミュレータ上で重ね合わせを行うように改善したところ正確な干渉解析を行うことが可能となった。
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