水田のみず管理とは、生産者が水田の水口(給水口)と水尻(排水口)にある「板」を開閉し水位を調整することである。みず管理は、コメの品質向上のため一日に何度も行う必要がある重労働である。また、高齢化によりみず管理が困難になり、水田を休耕田とする農家が増加している。そこで、自動みず管理装置を開発する。これには、みず管理の定量化が必要である。なぜなら、生産者は自分自身の経験である暗黙知で所望の水位に調整しているからである。したがって、単純な水位一定制御は、コメの品質悪化を招くため適用できない。これを形式知とすることで水位制御アルゴリズムの構築、すなわち自動化が可能になる。つまり、本装置によって休耕田の増加に歯止めをかけ、日本のコメづくりの活性化が期待できるのである。本研究では、開発したデータロガーを津山市内の水田に設置し、データを取得した。その成果を下記に記す。 1. 開発したデータロガーについて データガーには、Arduinoマイコンを使用した。Arduinoマイコンには、自作した水位センサー、気温センサー、湿度センサー、水温センサーを接続し、水田に設置した自作百葉箱に保管した。センシングしたデータは、XBEEを使用し百葉箱から約400m離れた農家家屋に設置してあるPCへ送信し、水田環境を記録した。 2. 水田環境の記録について データの記録を開始して約1ヶ月間は、順調であった。その後、配線の断線が発生しデータの記録が不可能となった。おそらく獣等の仕業であると思われる。そこで、対策工事を行った。その間、長雨や台風の影響によりみず管理はなかった。データロガー復旧後、受信状況が悪化し、PCでの受信が不可能になった。これは木々の成長等によるものと思われ、原因究明や対策にかなりの時間を要した。 3. 今後の予定 データロガーにて、水田環境が記録できた。今後も継続してデータを取得してアルゴリズム開発を行う予定である。
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