1、研究目的 : 高齢者が要介護となる原因の一つに転倒などによる骨折がある。ほとんど段差のないところでも容易に転倒し、手足の骨折やひどい場合には寝たきりになってしまうケースも見受けられる。脚力を適度に鍛え、日常生活に支障がでないようにすることは非常に重要な問題になってきている。高齢者の転倒の一因として、左右の脚力の差が大きいことが考えられると思い、脚力の差のアンバランスを少しでも少なくするために、トレッドミルおよびペダル漕ぎによる歩行訓練を交互に繰り返す訓練方式を提案し、脚力の回復具合を判定し、訓練の効果向上に役立てることを目的とした。 2、研究方法 : まず、被験者に対して事前に趣旨を十分に説明し、同意を得て実施した。ペダル漕ぎ歩行とトレッドミルによる歩行を交互に取り入れて、下記の方法で歩行訓練を行った。 a. 重心動揺計を使用して歩行訓練前後の平衡感覚を開眼および閉眼にてそれぞれ30秒間測定した。 b. 歩行訓練の前後に左右の脚力を測定した。 c. 歩行時間は疲れないことを目安として10分間とした。 d. 休憩は15分間とした。 e. 酸化還元確認計を使用して歩行訓練の前後に体調度を測定した。 f. 訓練中は心拍計およびパルスオキシメータを装着してモニタリングを行い、終了後にデータ解析およびアンケートによる評価をした。 3、研究成果 : トレッドミルによる歩行とペダル漕ぎを併用した歩行訓練を行い、左右の脚力差の平均化(解消)のためのシステム作りを提案した。継続的にペダル漕ぎを採り入れ、左右の脚を交互に同じ動作をさせることで、筋力の低下を防ぐ方法は重要な歩行訓練の一つだと考える。今回は健常者である学生、教職員を被験者としたが、健常者間でも、脚力、酸化還元度、平衡感覚には個人差が大きく、また右利き・左利きなどの差もあり実用化には被験者を増やし、また、訓練を長期に継続する等、検討することが必要と思われる。
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