| 研究実績の概要 |
この研究は, 黒色トナーを使用した電子写真方式プリンタにより印刷された文字の輪郭線の質を機器により測定し, 印刷時期, 及び機種を識別することを目的とする. そのために, ウェーブレットにより文字の輪郭線から定量的な指標を検出する手法を開発した. つまり, 輪郭線を信号と捕らえ, ウェーブレット分解による指標によって輪郭線の滑らかさ、粗雑さを評価する. これまでに, 主要なメーカー、機種間でプリンタに実装されたベクトルデータをラスター化する際のアルゴリズムの違いにより輪郭線に微細な差が生じることを確認した. さらに, 印刷枚数の増加によりドラムなどの劣化から印刷された文字の輪郭線の品質に差が生じる現象を確認する実験を行った. 英語のセンチュリーフォントを使用して, 文字列を主要なメーカーのプリンタを使用し印刷した. その後, 文字列を光学解像度5400dpiにてフラットベッドスキャナ(Creo社, iQsmart3)により撮影し, 画像データを得た. その画像に対して二値化, 輪郭線抽出を行った. 以上の前処理により得られた輪郭線を縦と横方向に分けた. 各方向の波形データを7段階のウェーブレッド分解し, 輪郭線の滑らかさ, 粗雑さを指標化した, 識別おいては, まず, 得られた指標を主成分分析により次元を圧縮し, 劣化, 及び機種の違いが最も良く表れる主成分を得た. その後, カーネル相互部分空間法をはじめとする4種の部分空間法を用いた識別の結果, 検出した指標が, 劣化, 及びメーカー機種間で異なることを確認した.
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