研究課題
一酸化窒素(NO)は、酸化反応によりnitrite及びnitrateに代謝される。最近、nitrite/nitrateからNOが産生されることが報告された。私達は、この報告を踏まえて、食事中のnitrite/nitrateの作用を検討し、低nitrite/nitrate食の長期投与がマウスに代謝症候群を引き起こすことを見出した。nitrateはホウレン草やレタスなどの緑葉野菜に多く含有されている。従って、私達の知見は、「野菜を食べないとメタボになる」という臨床的事実のメカニズムを初めて明らかにした点に学術的意義が見出される。最近、腸内細菌叢が代謝症候群の成因に関与していることが明らかにされた。この背景を踏まえて、本研究では、『低nitrite/nitrate食による代謝症候群発現の機序には、腸内細菌叢が関与している』と仮説を立て、それを次世代シーケンサーを用いて検証した。野生型C57BL/6マウスに低nitrite/nitrate食を3ヶ月間投与し、糞便中のDNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いて16S ribosomal RNA sequencingを行った。その結果、低nitrite/nitrate食群では通常食群に比して、著明に増加した腸内細菌群および著明に低下した腸内細菌群が多数認められた。現在、このUni-Frac解析と樹形図の作製を行っている。以上の結果から、低nitrite/nitrate食による代謝症候群発現の機序には、腸内細菌叢が関与していることが示唆された。
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J Pharmacol Sci
巻: 127 ページ: 217-222
10.1016/j.jphs.2015.01.003
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/pharmaco/Pharmacology/youkoso_yao_lihe.html