研究実績の概要 |
1. ヒト末梢血単核球から分離した単球を非接着細胞用ディッシュで様々なサイトカイン濃度にて培養, キラーDCを作製した. 収率, 生細胞率, 表現型, キラー活性の結果から至適濃度条件を決定した. (3例) (1)GM-CSF, PEG-intronの濃度を10倍ずつ変えて組み合わせ, コスト的に負担少ない4種類の条件につき, 3例ずつ検討した. 表現型以外に明らかな差はなく, CD14マイクロビーズで分離した高純度の単球では, 最も低濃度条件でも作製可能と考えられた. しかしDC成熟マーカーCD86やHLA-DRの発現は, 最も高濃度条件で3例ともやや高く, リンパ球等の混入で単球の純度が下がる場合も考慮し, 最も高濃度条件を採用した. 以上の検討から, 新規キラーDCの基準を満たす培養系確立時に低コスト化の指標となるデータが得られた. 2. 1. で決定した条件下で, 様々なコーティングの培養ディッシュ(3種類, 3例と4種類, 3例ずつ)や容器(ディッシュとフラスコ, 2例ずつ)でキラーDCを作製した. 収率, 生細胞率, 表現型, キラー活性から, 培養効率に優れた容器について検討した. (1)-1①国内A社製②海外B社製③海外C社製のディッシュ3種類で, 3例ずつ検討した. 3例とも測定項目すべてにおいて①が優れていた. (1)-2A社では①のコーティングで他の容器は製造しないと判明したので, ①を対照に④国内D社製aコート⑤D社製bコート⑥D社製cコートのディッシュ計4種類で, 3例ずつ検討した. ④, ⑤は収率やキラー活性で①を上回る例もあり, 他の測定結果も①に近く適応可能と考えられた. (2)D社でフラスコ作製可能だったため, ④と同じコートの75㎟フラスコと①で, 2例ずつ検討した. 同じ細胞濃度で培養したが, フラスコは成熟化前に培養液が変色, 回収時にデブリスが多く生細胞率を測定できず, 収率, キラー活性も①より低かった. 表現型でもCD80の発現が低く, 抗原提示能への影響が懸念された. 以上の検討では容器の決定まで至らなかったが, 複数のメーカー製品で新規キラーDC作製に適した非接着細胞用コーティングを調べることで, 培養効率に優れた容器の選定において重要なデータが得られた.
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