研究課題/領域番号 |
15H01678
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
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研究分担者 |
井元 清哉 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10345027)
蛭川 潤一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10386617)
鈴木 大慈 東京工業大学, 情報理工学研究科, 准教授 (60551372)
矢田 和善 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90585803)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高次元データ / データサイエンス / 統計数学 / ゲノム / マイクロアレイ |
研究実績の概要 |
本研究は、大規模複雑データの統計数理を、理論と方法論から総合的に研究するものである。モデルの構築と評価を担うモデリング技法の開発を目的とし、初年度に当たる27年度は、次の2つを研究テーマとした。 (1) 高次元における最適性理論と精度保証付きモデリング (2) 高次元における非線形構造と従属構造の統計数理 (1)について、青嶋と矢田は、高次元空間のクラス識別について、検定統計量の漸近正規性が要する正則条件を研究した。高次元データの巨大なノイズと潜在空間の大きさの比を理論的に評価して、正則条件を導いた。正則条件を満たさない場合、ノイズ掃き出し法とクロスデータ行列法を使った高次元データの変換を考え、漸近正規性を有するクラスで最適性理論を展開した。井元は、ゲノムビッグデータの解析として、薬剤感受性の予測、HLA領域の解析、体細胞変異の同定に関して新たな方法を構築した。(2)について、鈴木は、構造的正則化手法を効率的に計算するための確率的最適化手法について理論的な結果を強め、さらに、低ランクテンソル推定手法についてベイズ推定量がミニマックスレートを達成すること及び非線形ノンパラメトリックモデルに拡張できることを示した。蛭川は、高次元局所定常時系列因子モデルの漸近理論を考え、平均2乗誤差を評価し漸近正規性を導き、金融データや地震波データへの応用を考えた。 上記の研究テーマに沿って、論文発表・学会発表を行い、関連するシンポジウムを東京大学・富山県民会館・筑波大学・東京工業大学で計4回開催した。大規模複雑データを扱う様々な分野の研究者から多くの関心を集め、研究成果や問題提起について活発な意見交換がなされ、どのシンポジウムも大変に盛況であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の初年度として、研究目的を達成するための準備が、ほぼ計画通りに進展していると評価できる。特に研究テーマ(1)は、当初の計画以上の成果が見えつつある。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の2年目に当たる次年度は、高次元従属データの幾何学的表現を考え、高次元における非線形構造と非定常な従属構造をあぶり出す方法を探りたい。
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