研究課題/領域番号 |
15H01686
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
越前 功 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 教授 (30462188)
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研究分担者 |
馬場口 登 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30156541)
山岸 順一 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70709352)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コンテンツ流通・管理 / プライバシー / セキュリティ |
研究実績の概要 |
平成27年度は,[目的1]現実世界の人間の意思に基づいたマルチメディア情報の保護・活用の2つの課題,[課題1-1]人間とアルゴリズムの認識の差異に基づくバーチャル世界における個人識別妨害および[課題1-2]ポリシハイディング:ポリシ着用による柔軟なプライバシーコントロールに取り組んだ. [課題1-1]では,人間の表情認知や発話内容に影響を与えずに,バーチャル世界における顔認識や話者認識の精度を著しく低下させる個人識別妨害手法を検討した.顔認識の精度を低下させる妨害手法については,顔面への可視光反射素材の貼付領域の検討,および貼付する眼鏡状のフレーム角度の検討を行い基本方式を確立したが,屋外で予備評価を行ったところ,外光の顔面への写りこみや屋外の光量が顔認識の精度に影響することが判明したため,基本方式の実装には予定より多くの工数を必要とした.話者認識の精度を低下させる妨害手法については,音声の持つ個人性に着目し,人間の会話を阻害せずに音声の持つ個人性のみを隠す音を発生させることで,話者認識の精度を著しく低下させる手法を確立し,基本評価を行った. [課題1-2]では,サービスやコニュニティにおける個人識別の可否をプライバシーポリシとして定義し,当該ポリシ情報を現実空間において人間が着用することで,サイバー空間における個人識別情報の流通を制御する手法を検討した.具体的には,プライバシーポリシとして定義可能なペイロードの定義を行うとともに,着用物からも安定して情報を抽出可能な方式の検討および基本実装を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年10月,個人識別妨害手法の実装・評価を行ったところ,想定以上に顔面上の反射領域を確保する必要や妨害音の出力を増大させる必要が生じた.これは,実環境における様々なノイズ要因(外光の写りこみ,風切り音など)をシミュレーションで想定できなかったためである.そこで,予定より多くの工数をかけて当該手法の再検討,再実装,再評価を行う必要が生じた.
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今後の研究の推進方策 |
個人識別妨害手法の実装・評価が予定より多くの工数を必要としたため,ポリシハイディングの実装および,なりすまし困難な生体特徴の基礎検討の検討に遅延が生じたが,H27年度中に評価実験体制が整ったため,H28年度中に遅延が解消される予定である.
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