研究課題/領域番号 |
15H01688
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
崎山 一男 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80508838)
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研究分担者 |
林 優一 東北学院大学, 工学部, 准教授 (60551918)
三浦 典之 神戸大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70650555)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 暗号・認証等 / 電子デバイス・機器 / 計算機システム |
研究実績の概要 |
H27年度の実施計画に従い、以下の3項目に取り組んだ。 1) レーザーフォールト攻撃の評価環境の構築:レーザー制御部とレーザー検知部を自動的に相互制御できる統合制御プログラムを開発した。この制御プログラムを用いて、レーザー制御部とレーザー検知部を同期・連動させ、レーザー照射時の基板電位変動分布データを収集した。具体的には、オンチップモニタ回路とシフトレジスタを搭載したテストチップを作製し、レーザー光をフリップフロップに照射した際のエラー発生確率と基板電圧変動のデータを取得した。用いたレーザー制御部の時空間分解能は100ps、1μmであった。また、レーザーフォールト時にチップ内に誘起される電磁界伝搬について、時間領域差分(FDTD)モデルを基に電磁界シミュレーションを実行して確認した。また、シミュレーションと実測値の対応づけを行うために、簡易的にレーザーフォールト実験を行う環境を整備した。 2) レーザー照射時の基板電位変動の実測と検知手法の開発:1)の実測データに基づき、効率的なレーザー照射検知手法を検討した。今回は、多くのオンチップモニタ回路を配置する代わりに、レーザーの照射位置を変更させ、レーザー照射点と検知限界距離との関係を明らかにした。また、センサ配置位置と安全性との関係を評価できるよう、回路のレイアウト情報から情報漏洩量をシミュレートできる安全性評価フレームワークを準備した。 3) 検知に基づく暗号アルゴリズムレベルの対策技術の開発:安全性評価フレームワークの準備において必要となる入力パラメータを整理し、これまでの研究では検討がなされていなかった、電源遮断によるデータの消失までの時間を新たに追加した。試作チップを用いて、電源遮断時の振る舞いをMATLABで解析し、回路記述言語によるシミュレーション結果との比較の準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザーフォールト攻撃の実験環境を構築し、検知センサ回路の設計仕様を詳細に策定できる準備ができた。これにより、暗号回路におけるフォールト発生メカニズムに関する研究が進展し、国内研究会でその成果を発表した。また、フォールト攻撃対策技術に関する開発も順調に進んでいる。検知センサ回路と対策技術を盛り込んだ暗号チップ試作に向けて、計画通りの準備が整ったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた研究成果をまとめて国際会議への論文投稿を計画している。具体的には、レーザー検知センサ回路のレイアウト配置に関する論文を国際会議に投稿する。また、電源遮断時間の考察と新たなフォールト攻撃対策技術に関する成果をまとめ国際会議に投稿する。 AES暗号回路を搭載したチップ試作を行うことで、最終的な対策技術に必要となるセンサ検知回路と電源制御回路の詳細設計に必要となるデータを収集する。並行して、安全性評価を進める計画である。
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