研究課題
本研究は発達初期の言語,社会認知特性とそれらを支える脳機能・脳部位結合の定型発達,非定型発達パターンを明らかにし,発達障害を予期する因子を見出すことを目的とした縦断的乳幼児コホート研究である。本研究は自閉スペクトラム症(ASD)の兄弟児である乳児,すなわちASDを将来的に持つリスクのある乳児を3ヶ月齢から3歳まで縦断的に検討した。我々の先行研究では早産児と正期産児の発達の違いを縦断的に検討したが,今回はリスク児が対象となりコホート構築が1つの大きな目標であった。2018年度終了時点でこれまでリスク児約40名,定型発達児40名の参加を頂け研究を推進できた。今年はこれらの両グループの発達過程における違いを各実験別にまとめると同時に,現時点で得られているデータについて発達初期の行動や脳指標と2歳,3歳時点の発達との関係を検討した。それら結果の1つは発話する人の顔の注視特性を検討したアイカメラ実験であるが,6ヶ月から18ヶ月までの縦断研究の結果2群で注視行動の異なる発達が見られた。定型児は先行研究のとおり9,12ヶ月あたりで目の注視から口の注視時間が増加し1歳過ぎで目に戻る傾向が見られた。一方でリスク児は口への選好が見られる時期がより遅く,12ヶ月,18ヶ月を経て緩やかに口への選好が高まっていた。この違いは喃語の発話開始時期やミラーシステムと関係していると考察された。この注視行動は後の発達と現時点では有意な相関は見られていない。この他に微細運動を12ヶ月より計測しているが,12ヶ月時点の微細運動特徴は1歳半や2歳時点の言語発達との関係が示され,手指運動が器用な乳児ほど言語発達が良好であった。現時点のコホートはまだ0歳代乳児も多く継続的に縦断的な計測することでより信頼性の高いデータセットになると考えられる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
皆川泰代「赤ちゃんのココロとコトバのひみつ」Babyco子育て応援プロジェクト主催,ワークショップ「親育子育ラボ(おやいくこいくらぼ)」GINZA SIX(2018年12月19日).皆川泰代インタビュー記事「ぼくらの気持ち教えてあげる!赤ちゃんの「取扱説明書」:赤ちゃん研究室に聞きました」プレジデントBaby(2018年4月26日)
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