研究課題/領域番号 |
15H01701
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲見 昌彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00345117)
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研究分担者 |
南澤 孝太 慶應義塾大学, メディアデザイン研究科(日吉), 准教授 (10585623)
杉本 麻樹 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (50517399)
北崎 充晃 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90292739)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自在化 / 身体共役系 / 自己投射 |
研究実績の概要 |
本年度は,身体共役系を実現するため前年度に構築した1)ユーザの身体情報を取得する3次元計測装置,2)身体性を変更可能なアバタを含むバーチャル環境,3)没入型の視覚情報提示装置,というフレームワーク,および心理物理実験のための基礎技術(視覚情報提示装置・超音波触覚提示装置・画像撮像装置の位置合わせ)を活用し,研究分担者がそれぞれ感覚提示ごとに分担して実験を行った. まずユーザが能動的に身体を動かした時について調べた.具体的には,遠隔ロボットの操作やゲーム操作のようなユーザが接触的に対象物を操作する場合である.学習を行わせた後に,そのときのユーザの反応を計測することで自己投射が確立しているかを評価した. 次に,受動的に感覚提示された場合に,共役条件を成立させるための身体増の提示を試みた.具体的には,ラバーハンドイリュージョンのように受動的な刺激を受けている条件において,操作対象に対応した身体像を学習できるかを検証した.コンテンツに連動して,感覚情報を提示することで,自己と対象物の間の身体像のマッピングを学習させ,自己投射を検証した. 操作対象の身体性の変更について昨年度に引き続き検討を進めた.バーチャル環境におけるアバタの胴体部分の透明化や,バーチャルな腕部と実環境の腕部を対応付けるにとどまらず,装着型のロボットアームを開発することにより実環境においても身体像の編集を試みた.またそのロボットアームの操作を身体の他のどの部位に対応付けると学習しやすいかなど検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況としては,昨年度に構築した実験フレームワークを使用した身体共役系の実験を順調に進めており,当初の研究計画において想定していた進捗状況と合致している. 能動的身体動作に続き,受動的身体動作についても順調に実験を開始することができている.そこで得られた知見を活かすことにより,次年度の研究計画を効率的に推進することができる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は昨年度から引き続き,能動的および受動的な条件において,共役条件を成立させるための身体像の提示を試みる.全身を投射する受動場面に続き,局部に操作対象を投射している場面においても同様の身体像の学習が可能かを,感覚提示のモダリティ毎に検証する. 次に,「一対多」「多対一」「多対多」の組み合わせで共役条件成立を探る.応用として,例えば受動条件における感覚提示と体性感覚の多対一の条件が成立すれば,多数の異なるリアリティや動作が同時に提示された場合でも,どれかに体性感覚を合わせて操作することで,特定のリアリティに対して没入の誘導ができる.
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