研究課題/領域番号 |
15H01717
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
瀬々 潤 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (40361539)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 統計的有意性 / 相乗効果 / ゲノム |
研究実績の概要 |
本研究ではゲノムワイド関連解析(GWAS)の急速な普及によって、今まで手の届かなかった遺伝的疾患が明らかになる一方で、遺伝性が認められるにも関わらず、必ずしもGWASで解けない「ミッシング・ヘリタビリティ」問題に対して、その理由を明らかにし、解決手法を提案することを目的としている。そのアプローチとして、単一の変異のみでは現れず、複数の変異を組み合わせることで現れる疾患が存在する仮説のもと、数理統計手法LAMPの開発、大規模GWASデータへの適用を実施してきた。本年は、長年行われているコホートにおいては、通常のGWASにおける疾患の有無の状態ではなく、疾患発見後何年生存したかといった生存情報の蓄積が進んでいるため、生存解析にLAMPを適用できるように理論の拡張を行った。更に、この理論とその実装が正しく動くことを確認するために、公共のがんオミクス情報データベースであるThe Cancer Genome Atlas の遺伝子発現情報と生存情報に対して実験を実施し、既知の大規模な染色体変異を再確認する結果を自動的な統計計算によって得ることができた。また、昨年までに引き続き国内のコホートプログラムと連携し、GWAS情報の解析を継続し、複数の疾患に関して、変異の組み合わせを調査することで、単独の変異を調査した場合よりも統計的に有意な結果を得ることができた。この結果が何らかの第三要因による結果でないことを確かめるため、コホート間の結果比較が可能になるように、準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生存解析情報に対して拡張したことにより、提案手法の応用に関して幅が広がった。また、昨年度データ利用の枠組みを作り上げた国内コホートとの連携に関し、解析を進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる来年度は、(1)コホート情報の解析によって出てきた候補遺伝子、候補変異の組み合わせに関し、異なるコホート間の情報を比較することで、その情報が正しい・正しくないことを確認し、論文の形としてまとめる。(2)生存解析の結果に関しても、手法の開発に留まらず、生物学的・医学的意義も調査した上で、論文をまとめていく。
|