研究課題/領域番号 |
15H01725
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 俊 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (40183892)
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研究分担者 |
横川 太一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生命理工学研究開発センター, 研究員 (00402751)
木暮 一啓 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10161895)
福田 秀樹 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30451892)
小川 浩史 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50260518)
岩崎 渉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50545019)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 海洋炭素循環 / 凝集体 / 微生物ゲノム / 細菌群集 / 有機物 |
研究実績の概要 |
海洋の表層から中深層への大規模な有機炭素輸送媒体であり、海洋炭素貯留の規模と変動に直接的な影響を及ぼす有機凝集体の形成・沈降過程に関わる未解明の制御機構を、凝集体と海洋細菌群集の相互作用という新たな切り口から解明することを目的として研究を進めた。具体的には二種の多糖類からなる小型凝集体と単離株を、回転培養実験装置を用いて培養し、生成された大型凝集体の物理化学的特性を調べた。実験の結果、Pseudoalteromonas属の中に顕著な凝集促進能を有するものがあることが見出されたため、これらの細菌種の生理状態と凝集能の関係を調べる実験を行った。その結果、栄養基質の添加によって凝集能が低下する場合があることをつきとめた。また、近縁でありながら、凝集能が大きく異なる細菌株の特定を進めるとともに、凝集能の異なる細菌株間でのゲノム比較を進めた。一方、凝集体の海洋での挙動を規定する重要な物理特性である、凝集体のサイズや沈降速度の計測手法についての方法的な検討を進め、次年度以降の研究の展開に必要な基礎情報を整備した。さらに、海洋における凝集体や凝集体形成のもととなるコロイド状有機物の分布についての観測結果を解析し、成果の一部を論文としてまとめ公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海洋の表層から中深層への大規模な有機炭素輸送媒体であり、海洋炭素貯留の規模と変動に直接的な影響を及ぼす有機凝集体の形成・沈降過程に関わる未解明の制御機構を、凝集体と海洋細菌群集の相互作用の観点から明らかにするという本研究の目的の達成に向けて、平成27年度は、凝集体のモデル実験を中心に研究を進め、おおむね計画どおりに研究が進展した。また、現場海域での凝集体や有機物と微生物の相互作用に関する観測結果の解析も順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に得られた実験結果を踏まえ、細菌種による凝集能の違いに関するデータを引き続き整備し、形成される凝集体のサイズや沈降速度を明らかにする。また、凝集能の異なる細菌株のゲノム解析を継続的に進める。さらに、現場海域での凝集体の動態の理解を深めるために、凝集体の分布動態に関する観測的研究を実施する。
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