研究課題
本研究では、南極底層水の低塩分化に伴う深層循環の変貌の予測を目指し、南極底層水の生成域において長期係留観測に基づくモニタリング、定点CTD観測による各種水塊特性の変化の監視、底層水の低塩分化機構の解明を目指した陸棚域および外洋の各深度帯での乱流観測と拡散効果の評価を実施してきた。これまでの海鷹丸により南大洋の定点CTD観測および係留観測データについて、様々な観点から解析を行った。その結果は、2018年度開催の学会・研究発表会(JpGU2018(5月)、日仏海洋学会(6月)、日本海洋学会(9月)、気水圏シンポジウム(12月))にて発表した。研究発表では、それぞれビンセネス湾沖での南極底層水形成の証拠、表層混合層の発達過程に伴う低塩分水の挙動や南大洋子午面循環の構造一部などが紹介された。最終年度として解析や取りまとめが進められる中、本研究の柱として実施してきた南大洋での長期モニタリング観測の継続は今後の深層大循環の変貌を明らかにしていくうえで重要であることから、最終年度ではあるが、日本南極地域観測隊一般研究課題等で東経110°南緯61°以南の海域に係留する4系の係留系に、当経費で導入した観測機器を配分して2019年1月に設置した。回収は2020年1月の予定である。係留系設置に併せてCTD、XCTD観測を実施した。本課題では、南極底層水の低塩化の機構を明らかにするための一つの柱として、CTD観測で得られる海水サンプルから酸素同位体比を調べてきた。CTD観測は当該研究費研究期間の毎年1月に、東経110°~107°、南緯55度以南で実施してきたが、2015年度~2017年度に採取したサンプルの分析を行った。その結果、当該研究対象海域では、陸起源融解水の影響は、表層と底層に認めらえるが、底層水より表層に多く認められることなどが見いだされた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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In Oceanography Challenges to Future Earth -Human and Natural Impacts on our Seas-, 413pp., Ed. By T. Komatsu et al., Springer Nature Switzerland AG 2019. ISBN 978-3-030-00137-7.
巻: 0 ページ: 123-135