研究分担者 |
平田 岳史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10251612)
谷水 雅治 関西学院大学, 理工学部, 教授 (20373459)
村山 雅史 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 教授 (50261350)
宗林 留美 (福田留美) 静岡大学, 理学部, 准教授 (00343195)
申 基チョル 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (50569283)
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研究実績の概要 |
(1)白鳳丸KH-14-6 航海で南極海から太平洋において採取した海水試料を用いて,溶存態ニッケル,銅,亜鉛の濃度と安定同位体比の測定を進めた.西経170度における3元素の濃度と同位体比の鉛直断面分布をあきらかにした.ニッケル,銅,亜鉛はいずれも濃度の鉛直分布は表層で低濃度,深層で高濃度である栄養塩型に分類されるが,同位体比の分布は大きく異なった.3元素とも表層での植物プランクトンによる取りこみでは軽い同位体が優先的に取りこまれるが,銅と亜鉛は人為起源の軽い同位体が表層へ供給されている.銅は,スキャベンジによって時間とともに同位体比が重くなる. (2)台湾中央研究院Ho博士と協力して,粒子試料中ニッケル,銅,亜鉛の濃度と安定同位体比の測定法を確立し,東シナ海の沈降粒子試料の分析を行った. (3)堆積物中モリブデン,タングステンの濃度と安定同位体比の分析法をほぼ確立した.この方法を用いて,日本海中層堆積物コア試料(岩内沖,水深900 m,コア長7 m,堆積年代4.6万年前から),および各種岩石,堆積物の標準物質の分析を進めた.Mo/W濃度比およびMoとWの同位体比の古海洋プロクシとしての可能性を検討した.また,岩石試料中のNi安定同位体比を精密に測定するため,陽イオン交換樹脂, キレート樹脂, 陰イオン交換樹脂を用いる新しい化学分離法を開発した. (4)白鳳丸KH-17-3航海に参加し,亜寒帯北太平洋47°Nおよび145°Wの測線において,表層から底層までの海水試料を採取した. (5)北太平洋および南太平洋において採取した海水試料を用いて,生物活性微量金属(Al, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Cd, Pb)の溶存態濃度および全可溶態濃度の測定を進めた.また,海水中の強配位子場元素(Zr, Hf, Nb, Ta)のための新しい分析法の開発を進めた.
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