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2016 年度 実績報告書

再エネ大量導入を前提とした分散型電力システムの設計と地域的な経済波及効果の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15H01756
研究機関京都大学

研究代表者

諸富 徹  京都大学, 経済学研究科, 教授 (80303064)

研究分担者 八木 信一  九州大学, 経済学研究院, 教授 (10334145)
東 愛子  尚絅学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10589534)
近藤 潤次  東京理科大学, 理工学部電気電子情報工学科, 准教授 (20357049)
ラウパッハスミヤ ヨーク  立命館大学, 経営学部, 教授 (30633359)
太田 隆之  静岡大学, 地域創造学環, 准教授 (50467221)
安田 陽  京都大学, 経済学研究科, 特任教授 (70268316)
中山 琢夫  京都大学, 経済学研究科, 特定助教 (70623883)
佐無田 光  金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (80345652)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード再生可能エネルギー / 送配電網 / 電力系統 / 地域付加価値分析 / バリュー・チェーン分析
研究実績の概要

本研究は、【部門A】(「再エネ大量導入を前提とした電力系統の設計、運用、投資に関する研究」)と、【部門B】(「再エネの地域経済波及効果の定量評価、事業主体、地域ガバナンスに関する研究」)の2部門構成となっている。【部門A】では、我が国の電力系統のあり方、とりわけ送電網と配電網の設計と運用に関する現状の問題点と将来のあり方を客観的に分析することを目的としている。【部門B】では、ボトムアップ型で地域から電力・エネルギーシステムを構築し、それを基盤とする再エネ事業による地域再生を展望する。具体的には、再エネの普及拡大が、日本の地域の持続可能な発展にもたらす効果を、定性的/定量的に評価することを目的としている。

平成28年度は、電力系統運用改善に関する技術のうち達成度、効果、経済性の観点で優れた技術について、その効果を数値解析により定量的に分析した。また、欧州と北米の容量市場に関する現地調査を行い、それを再エネ普及効果の観点から制度評価を行った。さらに、再エネ地域付加価値モデル日本版を、飯田市や下川町に適応し、再エネ事業の経済的波及効果の試算に着手した。そして、これらの地域の再エネの現状や拡大シナリオを検討した。また、エネルギー自治の観点から飯田市の地区公民館に関わる市職員や住民へのヒアリングおよびアンケート調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

【部門A】では、電力系統運用改善に関する技術のうち達成度、効果、経済性の観点で優れた技術の効果に関する数値解析が遅れているものの、欧州の卸電力市場、調整力市場、そして容量市場に関する現地調査を行い、電力自由化や再エネ大量導入との関係で、これらの市場設計がそれもたらす経済的意味とその制度設計にあり方に関する研究が大幅に進展した。

【部門B】では、再エネ地域付加価値モデル日本版を、飯田市や下川町に適応し、実際に再エネ事業の経済的波及効果の試算に着手し、結果を発表することができた。そして、これらの地域の再エネの現状や拡大シナリオを検討する上での情報的基盤として活用されることになった。さらに、シュタットベルケ(「都市公社」)研究が大幅な進展をみた。また、エネルギー自治の観点から飯田市の地区公民館に関わる市職員や住民へのヒアリングおよびアンケート調査を行い、得られた結果を論稿として発表することができた。

今後の研究の推進方策

【部門A】では、前年度の定量的評価の結果で変動電源の導入可能量制限をどれだけ向上できるかを評価する。また、費用対効果を明確化し、優先的に導入すべき技術の順位付けを行う。電力市場システムに関しては、引き続き容量市場、配電網の所有主体・経営主体に関する各国調査を踏まえ、再エネ拡大のための電力市場、容量市場、そして配電網設計の在り方を取りまとめ、政策提案を行う。

【部門B】では、再エネ地域付加価値モデル日本版の機能を拡張する(熱、省エネ、交通/二次的波及効果)。また、再エネの主体形成と地域ガバナンスに関し、橋渡し組織が果たす機能について結論をとりまとめ、その飯田市以外の地域への展開可能性について検討を行う。

最後に、上記研究成果すべてを統合、まとめを行う。

  • 研究成果

    (34件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (12件) 図書 (10件)

  • [雑誌論文] ドイツのシュタットベルケは、配電網の再公有化を通して何を目指しているのか?2017

    • 著者名/発表者名
      中山琢夫
    • 雑誌名

      経済論叢

      巻: 190 ページ: 39-52

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『再生可能エネルギーとシュタットベルケ』特集にあたって-日本における自治体エネルギー公益的事業体の創設とその意義-2017

    • 著者名/発表者名
      諸富徹
    • 雑誌名

      経済論叢

      巻: 190 ページ: 1-12

  • [雑誌論文] 地熱発電の現状と今後の展望2016

    • 著者名/発表者名
      江原幸雄
    • 雑誌名

      電気計算

      巻: 84 ページ: 30-37

  • [雑誌論文] 再生可能エネルギーで山間地域に所得1%を取り戻せるか?-小水力発電と木質バイオマスの薪利用を中心に2016

    • 著者名/発表者名
      中山琢夫
    • 雑誌名

      財政と公共政策

      巻: 60 ページ: 3-17

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 分散型再生可能エネルギーによる地域付加価値創造分析-日本における電源毎の比較分析2016

    • 著者名/発表者名
      中山琢夫・Raupach Sumiya Jorg・諸富徹
    • 雑誌名

      環境と公害

      巻: 45 ページ: 20-26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 観光は地域の『消滅』を防ぐか―静岡県東伊豆地域の事例検討―2016

    • 著者名/発表者名
      太田隆之
    • 雑誌名

      財政と公共政策

      巻: 38 ページ: 18-40

  • [雑誌論文] 再生可能エネルギー促進の好機としての電力システム改革2016

    • 著者名/発表者名
      諸富徹
    • 雑誌名

      光発電

      巻: 39 ページ: 15-23

  • [雑誌論文] 『自治体エネルギー公益事業体』の創設とその意義2016

    • 著者名/発表者名
      諸富徹
    • 雑誌名

      都市とガバナンス

      巻: 26 ページ: 59-70

  • [雑誌論文] エネルギー自治・シュタットベルケ・地域経済循環2016

    • 著者名/発表者名
      諸富徹
    • 雑誌名

      地方財政

      巻: 55 ページ: 4-16

  • [雑誌論文] 風力発電設備の系統連系問題2016

    • 著者名/発表者名
      安田陽
    • 雑誌名

      ターボ機械

      巻: 44 ページ: 277-286

  • [雑誌論文] 風力発電のおかげで送電インフラ投資が進む~EUの研究開発プロジェクトの動向調査~2016

    • 著者名/発表者名
      安田陽
    • 雑誌名

      日本風力発電協会誌

      巻: 12 ページ: 120-127

  • [雑誌論文] Wind and solar energy curtailment: A review of international experience2016

    • 著者名/発表者名
      Y. Yasuda et al.
    • 雑誌名

      Renewable and Sustainable Energy Reviews

      巻: 65 ページ: 577-586

  • [学会発表] 2030年プラス100万kWを目指して2016

    • 著者名/発表者名
      江原幸雄
    • 学会等名
      日本地熱協会平成28年度第5回情報連絡会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2016-12-14
  • [学会発表] 地熱発電の現状と今後の展望~低炭素化社会の実現に向けて~2016

    • 著者名/発表者名
      江原幸雄
    • 学会等名
      エコプロ2016-環境とエネルギーの未来展 環境・エネルギー会議-、講演
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2016-12-08
  • [学会発表] 欧州における国際連系線融通電力量と再生可能エネルギー導入の相関2016

    • 著者名/発表者名
      安田陽
    • 学会等名
      第38回風力エネルギー利用シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-12-01
  • [学会発表] Does variable renewable energy promote grid expansion?2016

    • 著者名/発表者名
      Y. Yasuda
    • 学会等名
      15th Wind Integration Workshop
    • 発表場所
      Vienna
    • 年月日
      2016-11-15
  • [学会発表] 1m深地温測定による地球温暖化・ヒートアイランド現象の実証的理解(その2)2016

    • 著者名/発表者名
      江原幸雄 他
    • 学会等名
      日本地熱学会平成28年学術講演会
    • 発表場所
      福島県郡山市
    • 年月日
      2016-10-19
  • [学会発表] 1m深地温の短周期変動成分と気温変化との関係について2016

    • 著者名/発表者名
      江原幸雄 他
    • 学会等名
      日本地熱学会平成28年学術講演会
    • 発表場所
      福島県郡山市
    • 年月日
      2016-10-19
  • [学会発表] ドイツのシュタットベルケは、再公有化を通して何を目指しているのか?2016

    • 著者名/発表者名
      中山琢夫
    • 学会等名
      環境経済・政策学会2016年度大会企画セッション
    • 発表場所
      青山学院大学
    • 年月日
      2016-09-11
  • [学会発表] 再生可能エネルギーが地域にもたらす経済付加価値 -長野県を対象としたケーススタディ-2016

    • 著者名/発表者名
      小川祐貴・ラウパッハ=スミヤ ヨーク 他
    • 学会等名
      環境経済・政策学会2016年度大会
    • 発表場所
      青山学院大学
    • 年月日
      2016-09-11
  • [学会発表] 再生可能エネルギーが地域にもたらす経済効果~産業連鎖分析を適用したケースタディ~2016

    • 著者名/発表者名
      ラウパッハ=スミヤ ヨーク・小川祐貴
    • 学会等名
      環境科学会2016年年会
    • 発表場所
      東京都市大学
    • 年月日
      2016-09-08
  • [学会発表] 再エネによる地域付加価値創造分析2016

    • 著者名/発表者名
      中山琢夫
    • 学会等名
      電気学会合同研究会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2016-07-12
  • [学会発表] 欧州電力インフラの研究開発および投資状況 ~EUの政策プログラムの分析~2016

    • 著者名/発表者名
      安田陽
    • 学会等名
      電気学会合同研究会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-07-12
  • [学会発表] わが国の地熱開発の今後の動向に関するいくつかの私見2016

    • 著者名/発表者名
      江原幸雄
    • 学会等名
      平成28年度エンジニアリング協会 小規模地熱発電・熱水活用研究会第1回研究会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2016-06-22
  • [図書] 再生可能エネルギー政策の国際比較2017

    • 著者名/発表者名
      中山琢夫
    • 総ページ数
      362
    • 出版者
      京都大学学術出版会
  • [図書] 再生可能エネルギー政策の国際比較2017

    • 著者名/発表者名
      安田陽
    • 総ページ数
      362
    • 出版者
      京都大学学術出版会
  • [図書] 世界の再生可能エネルギーと電力システム (風力発電編)2017

    • 著者名/発表者名
      安田陽
    • 総ページ数
      140
    • 出版者
      インプレスR&D
  • [図書] 再生可能エネルギー政策の国際比較2017

    • 著者名/発表者名
      小川祐貴
    • 総ページ数
      362
    • 出版者
      京都大学学術出版会
  • [図書] アメリカの電力革命2017

    • 著者名/発表者名
      小川祐貴
    • 総ページ数
      344
    • 出版者
      エネルギーフォーラム
  • [図書] 地熱エネルギー技術読本2016

    • 著者名/発表者名
      江原幸雄 他
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      オーム社
  • [図書] 木質バイオマス熱利用でエネルギーの地産地消2016

    • 著者名/発表者名
      中山琢夫
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      全林協
  • [図書] テキストブック現代財政学2016

    • 著者名/発表者名
      八木信一
    • 総ページ数
      374
    • 出版者
      有斐閣
  • [図書] デジタルグリッド2016

    • 著者名/発表者名
      阿部力也
    • 総ページ数
      333
    • 出版者
      エネルギーフォーラム
  • [図書] 18歳からの民主主義2016

    • 著者名/発表者名
      諸富徹
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2018-01-16  

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