研究課題/領域番号 |
15H01771
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
三宅 美博 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (20219752)
|
研究分担者 |
野澤 孝之 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60370110)
山本 知仁 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60387347)
杉浦 元亮 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60396546)
小川 健一朗 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (90612656)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 共創システム / 「場」の可視化 / 授業支援 / 脳科学 |
研究実績の概要 |
授業とは教師と生徒のコミュニケーションを介する気づきの共創プロセスである。そして共創では「場」が重要な役割を担っている。「場」に基づいて共感が生まれ、それが気づきの基盤となる意欲や態度に大きい影響を及ぼすからである。しかし、現状では「場」を可視化する技術は開発されておらず、現場の教師の経験と勘に依存しているのが実状である。そこで本研究計画では、この知見を踏まえ、研究項目1)授業現場を対象として集団的コミュニケーションの「場」を可視化すること、研究項目2)「場」における共感状態の神経科学的な基盤を明らかにすること、さらに、研究項目3)「場」の情報をリアルタイムに教師にフィードバックできる共創的な授業支援システムを構築することをめざした。そして第1年度から第2年度にかけては、研究項目1)と2)を並行して進めた。 研究項目1)については、授業現場の集団的コミュニケーションを対象とし、加速度センサのセンサネットワークを用いて「場」を可視化する手法を確立した。具体的には、教師と生徒の身体運動(頷き運動を含む)の集団的な同調状態(位相関係を含む)を計測し、その時間的推移および空間的パターンを分析し可視化した。さらに「場」が生成し共感度の高い状況と低い状況を人為的に構成し、本可視化手法の有効性も確認した。また、研究項目2)については、授業を模した2人(教師役と生徒役)のレクチャー課題を対象として、本研究が提案する「場」の可視化と脳活動の同時計測を行った。具体的には、fMRIを用いて身体運動の同調状態と相関して賦活される脳部位を明らかにし、「場」と深くかかわる共感との関係や、それに基づく意欲や態度への影響を調査した。さらに、NIRSを用いて身体運動の同調状態において脳活動もインターパーソナルに同調しているか否かを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目1)では授業における集団的コミュニケーション「場」の時間的・空間的パターンを可視化すること、研究項目2)では脳計測の併用によって本研究が提案する「場」の可視化手法を神経科学的に根拠づけることが想定されていたが、そのいずれも達成することができた。このような背景から、おおむね順調に進展していると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、研究項目3)である「場」の情報をリアルタイムに教師に表現できる共創的な授業支援システムを構築することに取り組むことになる。具体的には、授業現場を対象とし、身体運動の同調状態として可視化される「場」の時間変動と空間パターンを、授業中の教師自身にリアルタイムにフィードバックできる共創的な授業支援システムを構築する。
|