研究課題/領域番号 |
15H01782
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小口 高 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (80221852)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地理情報科学 / 教育 / 実習 / 教材 / ソフトウエア / 野外調査 |
研究実績の概要 |
大学3~4年生を対象としたGISのオンライン実習のための教材を整備した。内容は書籍「GISスタンダード」の主な章に沿っており、構成は1)GIS入門、2)既存データの地図データと属性データ、3)空間データ、4)空間データの統合・修正、5)視覚的伝達、6)基本的な空間解析、7)ネットワーク分析、8)領域分析、9)点データの分析、10)空間データベース、11)ラスタデータの分析、12)空間補間、13)リモートセンシングとその解析、14)参加型GISと社会貢献、となった。ソフトウェアは様々な実習環境に対応できるQGISを主に用いたが、リモートセンシング、空間データベース、ネットワーク分析、空間統計学などの内容を含む教材ではGRASS GIS、PostGIS、CrimeStatなど複数のソフトウェアを組み合わせることにした。教材で用いるデータは、国土数値情報やオープンデータなどとし、背景地図が必要な場合には地理院タイルを利用した。 教材はPowerPointファイルと記述が容易なMarkdownファイルでまとめ、GitHubにアップロードしてWEBで試験公開した。GitHubの利用は、低コストでの教材管理と、教材編集に一般利用者が参加するために行った。教材にクリエイティブコモンズに基づいてCC BY-SA 4.0のライセンスを付与し、表示-継承の条件下において幅広い用途での自由な利活用を認めた。 整備した教材を、東京大学理学部地球惑星環境学科などの授業において実際に試用し、利用者からアンケートなどによるフィードバックを得た。その結果、教材が全体として初学者には難しいことが判明したため、これに対処する計画を立案した。 米国サンディエゴ州立大学を訪問し、GISの教育用教材について議論を行った。同大学でのインターネットの先端技術を取り入れた試みを日本に応用する方法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主要なプロダクトであるGISスタンダードに沿ったGIS実習用の教材の開発が、雇用した特任研究員と教員の連携により進み、全体を一通りカバーできた。GitHubのような従来の地理系の教材ではほとんど使われていなかったシステムを有効に利用し、実際に大学の授業で教材を利用することもできた。ただし教材の難易度が全体的に高かったことが判明し、対処が必要となった。これに関しては、今年度に整備した教材は中級者向けのものとして引き続き活用し、初学者向けのものを再構築する形で対応する予定であるため、結果的に教材を充実させることにつながるものであり、遅延の類ではないと理解できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、難易度を下げたGIS実習の教材を整備することと、それをさらに多くの大学の実習や講習会などで活用することを重視したい。また、米国研究者との議論を踏まえて、ウェブGISなどの相対的に高度で応用的な内容を加えることも行いたい。一方で3Dプリンタの活用といった一般人向けのプレゼンになるような要素の導入も本格的に検討したい。
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