鳥インフルエンザは、近い将来、ヒトに対してパンデッミクを引き起こすリスクがあり、これを予測し、最小限に被害を食い止めるための手段の1つは感染を疑う鳥をスクリーニングし、隔離することと考える。鳥類の呼吸は、骨格筋で駆動する気嚢により吸気と呼気が決まるので、その比が哺乳類とは違い1:1ではなくn:mである。そのため吸気を非接触で持続的にモニタできるように開発した透過型マイクロ波の検証を行った。実験対象動物は、ニワトリ、カラス(鶴岡市より譲渡)、ドバトである。 以下、実験結果。1.鳥類は圧倒的に交感神経優位の動物である。2.肺炎を発症した個体は、交感・副交感神経のバンランスが早期より乱れる。3.肺炎ではRR間隔の標準偏差は抑制され、極めて小さな値となる。4.透過的マクロ波で呼吸と循環がモニタできる。5.カラスの飛翔中も挿入した食道カテーテルからのマイクロ波照射で、呼吸、心拍が把握できた。6.鳥ヘモグロビンに適した血液酸素飽和度センサを開発し、動作を確認した。7.酸素分圧が高く、二酸化炭素分圧が低い気嚢は、後胸部気嚢であり、吸気時の圧変化は気道内圧と同期しており、吸気がもっとも早期に入る気嚢であった。8.国際電気通信連合に対して鳥類テレメトリに使用する注意喚起と周波数資源に関するリエゾンステートメントをITU-D(遠隔医療)を介してITU-R(無線通信)に求めるための寄書を提出した。 結語 開発した透過型マイクロ波による振幅と位相によるセンサは、総重量4gまで軽量化でき、カラスに装着して飛翔中の心拍、呼吸を持続的にモニタできた。鳥インフルエンザ感染個体は、早期より血管の透過性が亢進し、自律神経制御が乱れるので、これを透過型マイクロ波で観察し、スクリーニングできれば、初期より感染個体を隔離できるので、前向きな鳥インフルエンザの対策が行える。
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