研究課題
本研究課題は地球物理学的な観測(地震、磁場、測位など)装置を遠隔地から無人航空機で搬送し、目標地点に投下設置した後、数ヶ月間以上観測することができるプローブ(ペネトレータ)の開発を行い、実際のフィールド実験を行うことでその妥当性を検証すること、さらに、人が立ち入り不可能な場所に観測装置を設置して観測を行い火山学的な成果を創出することが目的である。「ペネトレータ」に関しては宇宙科学研究所が1980年代から開発を行ってきた月ペネトレータと呼ばれる、探査機から投下する観測プローブの開発成果に基づいている。技術上の最重要なポイントはプローブが地面に貫入する時に受ける衝撃に対して、機能、性能上、十分耐えることができるシステムを開発することである。昨年度完了した基礎開発成果に基づき本年度は実地フィールド試験用に2機製作を行い、予備的な投下試験を経た上で、鹿児島県諏訪之瀬島にて本投下試験を行った。諏訪之瀬島は現在も活動中の火山で通常時で警戒レベル3に指定されている。諏訪之瀬島島内の航空機発着場を使用し、山頂火口付近(規制区域内)をターゲットに合計4回(そのうち、テスト機を2機)実施した。貫入試験後、実地確認できる場所に貫入させた機体の確認したところ、プローブからの通信データ受信に成功し、想定した設置位置から20m以内の場所に貫入設置されていることを確認し、投下システムの妥当性を確認した。しかしながら、科学観測装置を搭載した機体を噴火口付近の立ち入り不可能な場所に投下したプローブについてはデータ通信ができなかった。原因は特定はできないが、地盤が柔らかくペネトレータが深く貫入しすぎたために通信不可能になったと推定している。以上を総じて、本研究の第一目的である観測システムの妥当性は確認できたが、火山学的な科学成果を得るには至らなかった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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