癌ワクチンの機能には、細胞傷害性T細胞の活性化を介して標的細胞を抗原特異的に攻撃する『細胞性免疫』の誘導が必須である。これを人工的に誘導する技術として、DNAワクチンは非常に有用な技術である。一方、腫瘍内は免疫が負に制御された環境であり、効果的な癌ワクチンを開発するためには、腫瘍内環境を矯正する技術が必要である。我々はこれまで、細胞内環境に応答して生体膜を突破し、自己崩壊する脂質様材料(ssPalm)と、本材料から形成されるナノ粒子製剤技術を開発している。本研究では、ssPalmを基盤とした遺伝子および低分子のデリバリー技術を開発し、生体内の抗腫瘍免疫を人工的に制御するため技術へと応用した。
|