研究課題
1)核酸酵素の活性化とバイオセンシング法への展開:核酸酵素(DNAzyme)は、酵素活性を発現する核酸配列である。タリボヌクレアーゼ活性を有する DNAzyme に関する研究が精力的に進められ、メッセンジャーRNAの不活性化による遺伝子発現制御、金属イオンや核酸配列のバイオセンシングなどへの応用が検討されている。本年は、アロステリック型のDNAzymeであるMNAzymeに対するカチオン性くし型高分子の効果についてさらに系統的に調べ、MNAzymeのマイクロRNAセンシングへの可能性を検討した。その結果、MNAzymeの基質結合アーム長、標的結合アームへの人工核酸の導入およびカチオン性共重合体の効果を、共同的に活かし、MNAzyme活性を1000倍以上向上できることを明らかにした。さらに、共重合体は、RNA検出の際課題となるRNA分解酵素から標的RNAの分解を保護する効果も見いだされた。2)脂質膜の機能制御と脂質膜ナノマシンの構築くし型共重合体によるペプチド機能の構造・機能制御に関する研究の過程で、これらの複合体を脂質二分子膜ベシクル(リポソーム)に作用させると、ベシクル状態からシート状態へと転移させられることを偶然発見した。ペプチド・共重合体会合体は、水・疎水鎖界面を安定化することで、シート構造への転移を促したものと考えられる。そこで、pHや酵素などの生体内シグナルに応答し、自律的に脂質膜構造を変換する脂質ナノマシンの創出を目指した。そのために、くし型共重合体に刺激感受性を付与し、それによる共重合体の性状変化を脂質構造へと連携させる手法を開発した。ガンやエンドソームpH応答し、ベシクル・シート転換するシステムを、αーアミノ酸で共重合体を修飾することで実現した。また、感温性高分子を導入することで、生理的温度付近で構造変化する脂質デバイスも実現した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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