研究課題/領域番号 |
15H01812
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 徹 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40417382)
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研究分担者 |
福島 誉史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10374969)
富田 浩史 岩手大学, 理工学部, 教授 (40302088)
清山 浩司 長崎総合科学大学, 工学部, 准教授 (60412722)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人間医工学 / 医用システム / 人工視覚 / 三次元集積回路 |
研究実績の概要 |
(1)高次情報処理を実現する超低消費電力三次元積層人工網膜LSI 回路の設計 現状の人工網膜チップでは、画素間の光電変換特性のばらつきが刺激電流周波数のばらつきに直に反映される回路構成となっている。これは1000以上の画素を有する人工網膜では特に大きな問題となる。本年度は画素間の光電変換特性ばらつきを補償する回路の基礎検討を行い、構成回路の一部機能の検証を行った。具体的には、光電変換特性ばらつきは各画素の暗電流に起因するものが大半であることを明らかにし、暗電流の補償方式と補償タイミング方式を決定した。実際に補償タイミング回路を作製し、所望の動作を得ることに成功した。
(2)LSI チップ積層化及び眼球内埋め込み用モジュール化技術の開発 網膜下埋植用人工網膜チップモジュールの開発を行った。人工網膜チップに直径7um・アスペクト比5~6のバックサイドTSVを作製することに成功し、他のシリコン基板とCuSnバンプ接合して電気特性を取得することにも成功した。人工網膜チップを一体化実装するフレキシブルケーブルを作製した。チップ実装部の有機材料を工夫することにより、実装したチップとフレキシブルケーブルとの電気接続の成功率を98%以上にすることに成功した。また、人工網膜チップの開口率向上と刺激電流値の確保を両立するために、新しい刺激電極材料の検討を行った。基板温度を最適化して刺激電極薄膜を作製し、0.04mC/cm2以上のCICを得ることに成功した。現状の画素サイズにおいて1回の刺激で2nC以上の電荷供給が可能であり、刺激電極として使用可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね研究計画通りに進捗し、H27年度研究項目記載の目標を達成している。人工網膜モジュールの生体適合性評価実験を加速する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
申請書記載の人工網膜LSI回路において、発熱補償・供給電力補償・刺激電流補償・起動補償の性能検証用回路の設計を進める。さらに人工網膜チップ・刺激電極アレイ・受給電コイルの一体モジュール化技術の開発に着手する。また、一体化モジュールの生体適合性評価に注力していく。
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