研究課題/領域番号 |
15H01820
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
澤田 泰宏 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究部長 (50313135)
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研究分担者 |
原田 伊知郎 社会医療法人社団蛍水会名戸ヶ谷病院(名戸ヶ谷研究所メカノメディスン部門), メカノメディスン部門, 主任研究員 (00361759)
本田 浩章 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40245064)
江面 陽一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50333456)
宮崎 剛 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50376480)
矢野 文子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80529040)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メカノバイオロジー / 骨代謝 |
研究実績の概要 |
当初、ギプスあるいはワイヤーによる関節固定では顕著な局所炎症を誘導できないので本研究には適さないと判断し、身体不活動モデルとして坐骨神経切離を用いることに決めた。しかし、メカニカルストレス介入による影響を担保すると考えられる細胞であるマクロファージの解析にあたり、坐骨神経切離では、切離された部位より遠位の神経組織に多数のマクロファージが動員されることがわかった。これでは不活動の影響ではなく神経切離そのものの影響が大きいことになるので、マクロファージを解析の中心に置こうとしているこのプロジェクトには適さないと判断した。そこで、不活動モデルとしてワイヤーによる関節固定とすることに最終的に決定した。関節固定で誘導される炎症は、程度が著しいとは言えないが、再現性は良好であった。 培養細胞実験で、炎症性サイトカインの発現を抑制するメカニカルストレスを見出した。細胞種により、そのメカニカルストレスのモードが異なることがわかった。 骨細胞特異的Cas欠失マウスにて生じる顕著な骨量低下の背景となるメカニズムの詳細を明らかにすべく、Cas欠失により生じる活性酸素種(ROS)の産生促進の上流シグナルを探索した。尿酸代謝に関わる酵素の役割を示唆する実験結果が得られた。 プロモーター解析(Lucアッセイ)やクロマチン免疫沈降法などで、Cas欠失によるこの酵素の転写が促進に関する詳細な分子メカニズムを解析した。ほぼ解析が完了したので、学術誌への再々投稿へ向けた準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cas欠失によるミトコンドリア機能障害がROS産生促進の原因であると記載して論文を投稿した時に較べ、本研究の成果としてのストーリーの一貫性が格段に改善した。 マウス後肢不動化による炎症誘導の実験系も安定したので、メカニカルストレスによる介入でもたらされる炎症抑制の再現性は極めて高い。このことは、その背景となる分子メカニカルストレスの解析に大きく利するものと思われる。 培養細胞実験でもメカニカルストレスによる炎症抑制のメカニズムの探索に用いることができる系を確立することができた
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今後の研究の推進方策 |
不動化して炎症が誘導されたマウスの後肢骨格筋及びその周囲組織にメカニカルストレス、具体的には反復性圧迫を加える。NF-κB活性(アセチル化や核内局在で評価)、マクロファージ数(F4/80陽性細胞数で評価)、炎症性物質の発現(TNF-α、IL-1β、MCP-1などの遺伝子発現で評価)などを検討し、メカニカルストレスによる炎症抑制の詳細な分子メカニズムを解析する。さらに、炎症抑制効果が最大となるメカニカルストレスの強度、頻度、モードを決める。 また、メカノセンサー分子やNF-κBなど炎症制御分子の遺伝子改変マウスを用いて後肢不動化やメカニカルストレス介入の実験を行うことで、メカニカルストレスによる炎症抑制のメカニズムの責任分子を決める。
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