研究課題
本研究プロジェクトにおいては、体育学と工学の研究者が緊密に連携し、多様化・高度化するスポーツ現場で起こっている様々な研究課題を解決するための新たな研究方法論を共同で開発し、スポーツ科学のイノベーションを実現することを目的とする。特に平成29年度は、1)競泳レースを対象として泳動作映像における色情報分布を用いた自動解析システムの開発、および2)圧力センサを用いて泳者が発揮している推進力を定量するシステムの開発に取り組んだ。1)については、競泳プール全体を映した競泳プール映像から、各レーンでの泳者位置とストローク数を推定する画像処理方法を提案するこを目的とした。水面特有のゆらぎや泳者が作り出す水飛沫が画像処理時に問題となるので,2種類のマスクを利用した2段階画像処理によって、精度のよい位置推定を実現を目指した。ストローク数の推定は、泳法に特有のテンプレートを用意し、その畳み込みによる相関値の変化を観察することで可能にした。実際の競泳プール映像で検証実験を行い,性能評価を行った結果,妥当な値を得ることに成功し,ほぼ実用化の目処がたった.2)については、これまで泳者が発揮する推進力については、画像分析による準定常法が主流であったに対して、圧力センサを用いた新たな計測システムを提案することを目的とした。泳者手部の表裏に4対の圧力センサを装着し、泳運動中の圧力分布を計測するとともに、水中動作のモーションキャプチャーを行い、独自に開発したアルゴリズムによって解析を行った結果、非定常性を考慮した推進力の推定が初めて可能となった。
2: おおむね順調に進展している
過去3年間に渡り、本研究プロジェクトを遂行してきたが、当初計画した研究課題については、所期の目的を達成しつつあると思われる。特に本年度、本格的に取り組んだ泳者手部で発揮される推進力測定法の開発についてはほぼ完成し、その成果を国際誌に投稿することができた。
今後は、これまでに開発にあたってきた方法論について、実際のコーチング現場で使えるかどうか検証する段階へと移行する。特にト ップ選手を対象としたコーチング現場では、データ計測に時間を掛けることはできない上、得られたデータを出来る限り速やかにフィ ードバックするためのアプリケーションの開発も行う必要がある。よって来年度移行は、現場に実装するためのソフト面での改良に重点を置く予定である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
バイオメカニクス研究
巻: 21 ページ: 180-188
Human Movement Science
巻: 57 ページ: 409-416
10.1016/j.humov.2017.10.002
巻: 54 ページ: 276-286
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可視化情報学会論文集
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