研究課題
子供は大人に比べて放射線被曝による発がんリスクが高い。しかし、子供の被曝の正しいリスク評価や将来的ながん予防のためには、発がんの分子メカニズムの解明が必須であるが、エビデンスは極めて少ない。我々は、これまでマウスやラットを用いて、放射線発がんリスクは【感受性のウインドウ】と呼ぶ特定の発達時期の被ばくで高くなること、その時期はがんの種類によって異なること、さらに一部のがんにおいて【放射線に特徴的なゲノム損傷】があることを報告し、国際的に「こどもの被ばく」の分野で世界をリードしてきた。本研究では、これらの研究で保存してきた世界的に見ても貴重なサンプルについてゲノムレベルで体系的に解析し、子ども被ばくに特徴的な発がん機構を明らかにすることを目的とした。H30年度は、自然発症したがんと放射線照射によって誘発したがんを解析した。血液がん:B6C3F1マウスに放射線照射後発生したTリンパ腫およびBリンパ腫について免疫組織化学染色解析を行い、リンパ腫のタイプ(Tリンパ腫、Bリンパ腫)を確定した後、全エクソーム解析を行い変異遺伝子を抽出した。また、Mlh1ホモ欠損マウスに生じたTリンパ腫の解析では、自然誘発リンパ腫と放射線誘発リンパ腫のゲノム変異の違いについて解析した。固形がん;B6C3F1マウスに1週齢または7週齢で放射線照射後発生した肝臓と肺の病変について病理組織解析し、肝細胞がんと肺腺がんを同定した後、凍結サンプルのがん部分からDNAを抽出した。アレイCGH解析とLOH解析を行うと共に、肝細胞がんについては全エクソーム解析によって変異遺伝子を抽出した。乳がん(SDラット)についてはホルモンレセプター発現によるタイプ分類を行い、自然誘発またはガンマ線照射後に発生した乳がんの全エクソーム解析により変異遺伝子を抽出した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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