研究課題/領域番号 |
15H01849
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田畑 伸一郎 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (10183071)
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研究分担者 |
丸川 知雄 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (40334263)
佐藤 隆広 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (60320272)
上垣 彰 西南学院大学, 経済学部, 教授 (70176577)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 比較経済体制 / ロシア経済 / 中国経済 / インド経済 / 世界経済 |
研究実績の概要 |
1.ロシア,中国,インド3国の経済成長モデルの変化に関する検討を進めた。ロシアでは,2000~2007年に高成長をもたらしたモデルが既に機能しなくなり,新しいモデルの模索が行われていることを明らかにし,それが輸入代替に基づくものになるという仮説を提示した。 2.3国における国家の役割に関する検討,あるいは,これらの国を国家資本主義と規定できるかについての検討を進めた。中国においても2000年代にGDPに占める国家セクターの比重が増大する傾向が見られたが,2012年以降,その反転が見られることを明らかにし,その背景事情などを解明した。 3.3国の経済と世界経済との関係,あるいは,世界経済のなかでの3国の位置付けに関する検討を行った。とくに,中国と新興国との経済関係の特徴を明らかにし,中国経済の減速が新興国に波及する経路を解明した。また,ロシアの国際経済関係を帝政ロシアやソ連の国際経済関係と比較する試みを行った。原油価格の下落とウクライナ紛争に関わる経済制裁の影響により,2015年のロシアの国際収支表がそれまでとは様変わりしたことも明らかにした。 4.中央と地方の財政関係に関する比較を進めた。とくに,ロシアとインドの地方財政の格差を比較する試みを行った。ロシアでは,プーチン政権下における中央集権化の強化が明らかであるが,データを整備して,いっそう厳密な比較を行うことが今後の課題となっている。インドにおいては,電力部門の改革が地方政府の負担となっていることから,この問題も合わせて検討することの必要性が明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロシア,中国,インド3国の経済について,①マクロ経済,②ミクロ経済,③社会問題,④地域経済,⑤世界システムの5つのサブトピックスに関する比較を行うことがおおむね予定通りできている。とくに,経済成長モデルの変化,経済における国家の役割,社会的影響の大きい電力改革の問題,中央と地方の財政関係,3国を取り巻く国際経済関係の変化に関して,認識を深めることができた。 これらに関して,既にいくつかの論文を発表することができたほか(田畑,丸川),国内外の学会において,数多くの発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,メンバーがそれぞれの専門とする国を担当するのではなく,分野別に担当を決め,それぞれが3国の比較を行う体制を取っているが,これを継続する。分野として,①マクロ経済,②ミクロ経済,③社会問題,④地域経済,⑤世界システムの5つのサブトピックスを設定することも継続し,連携研究者を含めて,分担して研究を推し進める。 平成28年度においては,ロシア,中国,インド3国の経済発展モデルがどのように変わりつつあるのかについての検討をさらに進める。とくに,これまでの対外経済関係の発展に強く依拠するモデルからの変化が検討の中心となる。中央・地方の財政関係や地域の経済発展政策についての比較分析も重視する。さらに,世界経済のなかでの3国の役割の変化についての分析も推し進める。
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