研究課題/領域番号 |
15H01849
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田畑 伸一郎 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (10183071)
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研究分担者 |
丸川 知雄 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (40334263)
佐藤 隆広 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (60320272)
上垣 彰 西南学院大学, 経済学部, 教授 (70176577)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 比較経済体制 / ロシア / 中国 / インド / 国際経済 |
研究実績の概要 |
1.神戸大学経済経営研究所で10月にセミナー「地域大国としてのBRICs」を開催し,ロシア,中国,インドにブラジルを加えて,4カ国の経済についての比較検討を行った。本研究のメンバーは,インドについて個別の産業部門の分析,ロシアについてマクロ経済の分析を中心に,これまでの研究成果を報告した。 2.北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターで12月に開かれた国際シンポジウム「体制転換から四半世紀:ポスト共産主義社会の多様性を再考する」のなかで「国家セクター改革の比較:ロシア、中国、インド」と題するセッションを組織した。3国においては,国家セクターがいまだ大きな位置を占めている一方で,その非効率性や腐敗の問題も大きな問題となっている。このセッションでは,このような国家セクターをどのようにして縮小していくべきかなどについて議論した。 3.西南学院大学で1月にワークショップ「ユーラシア地域大国と新興市場の経済と社会」を開催し,東中欧などの移行諸国を含めた国々の政治経済の比較を行った。このなかで,本研究のメンバーは,インドの産業部門の動向についての研究成果を発表し,中国の深センの経済についての報告を行った。後者は,3月の合同調査のための準備作業を兼ねて行われた。 4.本研究では,毎年度メンバーが揃って3国のいずれかを共同で現地調査することにしているが,本年度は,3月に中国の深センと香港を共同で訪問した。深センは,珠江デルタという「世界の工場」の中心にあり,今や中国におけるイノベーションの首都となっており,中国の経済発展のなかで特異かつ大きな役割を果たしている。我々は,なぜこのようなことが深センで可能になったのか,ロシアやインドでは起こりえないことなのかという問題関心から,視察と聞き取りを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロシア,中国,インド3国の経済について,①マクロ経済,②ミクロ経済,③社会問題,④地域経済,⑤世界システムの5つのサブトピックスを中心に比較を行うことがおおむね予定通りできている。とくに,イノベーションの振興,経済成長モデルの変化,経済における国家セクターの役割,社会的影響の大きい電力改革の問題,3国を取り巻く国際経済関係の変化に関して,認識を深めることができた。 これらに関して,数多くの論文を既に発表することができているほか,国内外の学会において,数多くの発表を行ってきた。とくに,平成28年度においては,本プロジェクトが中心となって,3国経済の比較を含む2つの公開の国内研究会を開催したほか,ドイツで開かれた欧州比較経済体制学会,米国で開かれたスラブ・東欧・ユーラシア学会,札幌で開かれた国際シンポジウムにおいて,セッションを組織して研究成果の発表を行った。さらに,計画通り,中国の深センと香港において共同の現地調査を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,メンバーがそれぞれの専門とする国を担当するのではなく,分野別に担当を決め,それぞれが3国の比較を行う体制を取っているが,この比較を本格化する。分野として,①マクロ経済,②ミクロ経済,③社会問題,④地域経済,⑤世界システムの5つのサブトピックスを設定することを継続し,連携研究者を含めて,分担して研究を推し進める。 平成29年度においては,これまでの研究成果を6月にサンクトペテルブルグで開催される第2回比較経済研究世界大会で2つのパネルを組織して,発表する。本研究では,毎年度メンバーが揃って3国のいずれかを共同で現地調査することにしているが,平成29年度は,ほぼメンバー全員がこれに参加してロシアを訪問することになることから,これを現地調査に代えることとする。 これまでの研究のなかで,国家セクターのなかでも,銀行部門の役割に注目する必要性が強く認識されるようになったことから,3国の銀行部門を比較する試みを行うことを企画している。
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