研究課題/領域番号 |
15H01852
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中野 聡 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (00227852)
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研究分担者 |
岡田 泰平 静岡大学, 情報学部, 准教授 (70585190)
中村 江里 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師(ジュニアフェロー) (20773451)
吉田 裕 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (20166979)
石居 人也 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (20635776)
足羽 與志子 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (30231111)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 総合人文社会 / 地域研究 / 地域間比較研究 / アジア・太平洋戦争 / 日本史 |
研究実績の概要 |
本研究は「アジア・太平洋戦争史」をめぐる比較・総合の観点に立った国際的・学際的な研究・教育プロジェクトの展開を目的として、(1)「比較アジア・太平洋戦争史」国際研究教育セミナーの開催、(2)英語ベースの「比較アジア・太平洋戦争史」資料・文献・教材集および実験事業パッケージの開発・実施、(3)若手研究協力者のプロジェクトへの参加を通じた育成の3事業を相互に関連させつつ実施していく。 研究2年目となる平成28年度は、まず上記(1)に関連して、2017年3月4-5日に第5回セミナー「岐路に立つグローバリゼーションと歴史実践」を実施した。また(2)に関連して、前年度に一橋大学で行った学部・大学院共修科目および交流学生が参加する英語による授業(Topics of Modern and Contemporary History「現代史特論」)の成果を踏まえ、新たな内容を追加し前期に科研費研究員の清水由希江氏の担当で開講した。さらに、前年度に英訳を進めたアジア・太平洋戦争史に関する代表的な史資料を用いる授業を後期に開講した。また、2017年7月21日・8月4-5日の3日間に講義・フィールドワーク・映画上映・アーカイブ見学・ディスカッションを組み合わせた8つのプログラムからなる実験的なサマースクールを実施し、フィールドワーク用の資料の英訳を行った。なお、前年度から引き続き英訳のための史資料・文献の選定・翻訳を継続したほか、教材作成目的で濱谷正晴一橋大学名誉教授が進めている被爆者調査資料アーカイブのデジタル化も推進した。(3)においては、一橋大学ジュニアフェローの中村江里氏を研究分担者とし、科学研究費研究員として清水氏に若手研究者を講師として招聘したサマースクールの企画運営、根本雅也氏に研究会議の企画運営において協力してもらった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は相互に関連する3事業の推進を柱としている。研究代表者が所属機関の管理職に就任して多忙を極めたものの、いずれについても初年度の成果と課題を踏まえた上で、新たな取り組みを展開することができた。 まず(1)2年目の「比較アジア・太平洋戦争史」国際研究教育セミナーの開催については1回のみの開催であったが、若手研究者企画を組み込んだ2日間三部構成(テーマ:歴史叙述、グローバル教育と戦争史のペダゴジー、戦争の展示)のセミナーを開催し、歴史教育の実戦経験の交流をさらに進めることができた。なお、今後も開催地・参加研究者の多様化・拡大は課題である。 また(2)英語ベースの「比較アジア・太平洋戦争史」資料・文献・教材集および実験授業パッケージの開発・実施については、ゼミ形式の実験授業(半期15回を2コマ)研究代表者、科研費研究員が開講し、留学生含め複数の大学からの学生が参加した実験的なサマースクールを実施し、一橋大学内の教育研究施設の授業での活用や教材として資料の英訳を進めた。また授業準備・記録のためのWebサイトを順次作成し、授業パッケージの共有への取り組みを進めた。英訳の成果物についてその共有の仕方を含めた教材化の作業が今後の課題である。 若手研究協力者のプロジェクトへの参加を通じた育成については、新たな研究分担者、科研費研究員としてポスドク研究者を計3名採用し、上記(1)、(2)の推進に主導的な役割を果たした。また国際研究セミナーならびに実験的サマースクールでは、一橋大学出身者以外の若手研究者を講師として招聘し、企画段階から協力を得たことで、新たな研究交流が可能となった。今後も公募等を含め、他大学の若手研究者にプロジェクトへの参加を呼びかけていくことが課題である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「比較アジア・太平洋戦争史」国際研究教育セミナーの開催、(2)英語ベースの「比較アジア・太平洋戦争史」資料・文献・教材集および実験事業パッケージの開発・実施、(3)若手研究協力者のプロジェクトへの参加を通じた育成の3事業を推進する。 このために、各国で英語での歴史教育を行う研究者に呼びかけ、それぞれの授業を学生に対して実施してもらう機会を設け、実験授業パッケージの開発を進める。平成28年度に構築したウェブサイトを実験授業での運用ができるように内容の点検・補足をしていく。
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